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ゴルベーザ
ゴルベーザ
novelistID. 23798
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Distorted Love 8

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―臨也Side―





俺の愛している人間の中で最も愛しいと思える存在。
おそらく俺がそう思える最初で最後の人物。

最初はお気に入りの駒にしか見ていなかったのに徐々に君の笑顔に魅せられてしまっていた。


フったのは君を危険に巻き込みたくなかったから。
今回の仕事がそれほど危険だったというのもあるけど、俺はシズちゃんみたいに毎日君の傍にいてやれる存在ではない。

俺はそれが苦しくて、君から捨てられる前に自分から関係を断ち切ろうと思った。
けど―――、予想以上につらかったよ。
まだ愛している君の顔を見て別れを告げるなんて、例え演技でも出来なかった。
それで、言うだけ言って逃げちゃったんだけど。

それからシズちゃんがどういう行動に出るか分かってたし、帝人君とシズちゃんがそういう関係になるのも予測できた。

……それでいいんだ。悔しいけど俺なんかよりシズちゃんの方が帝人君を幸せにしてやれるだろう。
化物だけど帝人君にはいつも気をつけて触れようとしていたから。

久しぶりに来た池袋で君が絡まれていたのを偶然見た時、とっさに体が動いていた。だから、以前のように接してしまっていた。

君から逃げてしまった俺だけど助けてあげられてよかった。
そして一段落した後、君から話があると言われて悲しいと思った反面、安心したんだ。
帝人君は強くなったんだなって。

さすがに暗い所で話す訳にはいかないから、近くにあるオープンカフェに二人立ち寄って今に至っている。

「……で、話って何かな?」

本当は聞きたくなんかない。内容など分かりきっていることだ。

だけど、帝人君なりに頑張って俺やシズちゃん…………それに自分自身と向き合った結果の行動さえも逃げるなんて男として最低だ。

「僕、臨也さんのこと大好きでした。」

「………うん。」

「ふざけている時もあったけど、いつも僕のこと考えてくれてたし、僕のわがままも全部聞いてくれて。それから………」

「…うん。」

「フラれた後も迷惑だと分かっていたけどずっと引きずってました。…今冷静に考えると優しい臨也さんがあんな別れ方をしたのは何か理由があったんだと思います。」

「…うん。」

「どん底にいた僕を救ってくれたのは静雄さんでした。未練がましい僕を支えてくれたし、あなたのように優しかったから最初は静雄さんにあなたを重ねてしまった…。そんな最低な僕だと分かっていたうえで静雄さんは僕を愛してくれた。僕は彼の気持ちに応えてあげたいんです。」

「うん。」

「だからあんな別れ方をしたままじゃ駄目だから。ちゃんとお互い笑って別れなきゃ駄目だから……。」

「…っうん。」

次に言われるであろう言葉を前に俺は泣いてしまうのではないかと思った。
でも俺はこの子を応援してあげなきゃいけない。

もう名前を呼んでも以前のように俺の所へは飛び込んでくれない帝人君。
………分かっている。そんなふうにさせたのは俺自身だということ。それにあのとき帝人君が本当に助けて欲しかった相手は俺ではないことも……頭に思い浮かべたのはシズちゃんだということも分かっている。

「だからもう一度別れましょう、臨也さん。」


作品名:Distorted Love 8 作家名:ゴルベーザ