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触れる。そして、触れられる。

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耳元の低い声。
さっきよりも強い音。
「今度誘いに行くから覚悟をしておきたまえ。君に……、そう、触れる、よ。余すところなく、君の全てにね」
意志を持って触れると大佐は言った。それは愛撫だと。
オレは返事なんてしないで走りだす。
アルフォンスの元へ。
だけど、今度。
その今度を思えば身体が熱い。
触れる。
触れられる。
きっと……、いや絶対に。
オレは拒めないし拒まない。
意志を、持って、触れる。
オレの意志で。
自分から、触れられる。
その時はきっとすぐ。
今日動けなかったオレ。
今日のオレは覚悟が足りなかった。
迷ってるんじゃない。
その先に、進む勇気が足りなかっただけ。
指先が触れたくらいで死にそうに熱くて。
だけど今度は。

触れる、触れられる。
きっと、全部。髪だけじゃなくて、頬だけじゃなくて、もっと全部オレの奥まで。
西の空にオレンジ色の夕陽が沈むように。
当然の、事象
きっとオレも。
大佐の焔に触れられて、溶ける。
自分から、意志を持って。
あたりまえの、ように。
いつかそう遠くない未来で。


触れる。そして、触れられる。




             終わり