そんな関係
「ねぇ、もし俺が新羅の事好きだって言ったらどうする？」
唐突な質問。
新羅は不思議そうに臨也の方を見る。
「何、それどういう意図なの？」
「質問に質問で返さないでよ。
どういう意図って、どうもこうもないでしょ」
嫌に真剣な眼差しと声に、新羅はこれはいつもの戯れ言ではないと理解する。
「うーん、そうだなぁ……。
………まあ、拒絶はしないよ」
「じゃあ何、受け入れてくれるの？
あの首無しじゃなく俺を愛してくれるわけ」
「それは無理な相談だよ、臨也。
あくまでも僕が愛しているのはセルティだけだからね」
柔らかく微笑みながらそう言う新羅に、臨也は顔をしかめる。
「……じゃあ、何なのさ」
「拒絶も愛してもあげられないけどさ、許容はしてあげられる」
「っな、にそれ………。憐れみか何かのつもり？だったら―――」
「違うよ。たださ、君は大切な友人だから―――――」
その言葉に目を見張り、次いでどこか清々しいような表情を見せる臨也を見て新羅は少しだけため息をついた。
臨也が新羅に対して先のような質問をするのは初めてではない。以前にも数度、聞かれたことがあった。
だが理由について口にしたことはない。新羅も無理に聞こうとはしない。それは互いの首を閉めることになると理解しているから。
今のままの曖昧な関係。それが壊れるのは避けたい、そう思っている。この関係に白黒をつけるということは、相手も自分自身も傷ついてしまうことは理解しているつもりだ。