Diary
夢を、見た。
アルルが踊っている。俺は必死に声を振り絞るけど、アルルには気づいてもらえない。
とにかく名前を呼びつづけて、ついにそれまでに出したこともない大声を出した。
顔を上げると、アルルの顔がこちらに向いていた。
嬉しくなって手を伸ばす。
その手が、絡みあう糸によって阻まれた。
どんなにかき分けても向こう側には届かない。
アルルの手は遠くて、小さくて、今にも消えそうで…
俺の手は…無力だった。
俺は今、オーク王国軍隊病院の病室にいる。
怪我の経過は良好。腹の傷も綺麗にふさがった。
肩に残る違和感もだいぶましになった。
俺は…明日、裁判にかけられる。