toccata
そう心の中で何度も呪文のように繰り返せるくらいに…。
真斗とレンのソロ楽曲は初日に出来あがっていた。
林檎からの連絡で、
「編曲は既にシャイニングがお願いしてあるから、最悪メロが出来ていれば大丈夫よ」
と言われている。
進捗を毎日事務所に報告していた。
その流れを見て、多分、龍也や林檎が掛け合ってくれたのだろう。
編曲迄間に合わない…と言う本当は避けたい状況ではあるが、防護ネットは準備して貰えていた。
心おきなくデュエット楽曲に…と思っていたら、三日間、何も進展していない。
そんな流れなのである。
事あるごとに二人の意見が対立する為、全く進まないのだ。
まるで、水と火である。
妥協しようとしてくれない。
間を取ろうとしてくれない。
春歌の心の中は焦りで満杯になっていた。