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メリー・メリー・ゴーラウンド

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「や、やじま、さん?」
「ん?どうした、太一」
「…え、えっと、んと、あのね……」
「うん?」
 いつも元気で、こっちまで嬉しくなる程に、元気で。
 前向きさとひたむきさをもって、進化していくこの子は…俺がこうすると、どこか大人しくなってしまう。
 少し残念だが……こういう太一も、可愛いと思う。
 未だうーうー唸って、言葉を紡げない太一を促す様に、ん?と首を傾げてみた。
「ん、んと、やじまさん、なんで、だっこするの?」
「……嫌か?」
「ん、んーん、そんなことないっ!!……けど……」
「けど?」
 慌てながらも力強く否定してくれたが、直ぐに眉を八の字にして言い淀む。
 その先を促せば、弱りきった表情で、
「……たいじ、おこるんだー」
 ………………。
 兄弟だからといって、行動の制限は感心しないな。
「…どう怒るんだ?」
「えっと、矢島さんにはふたんだから、あんまりくっついちゃいけないって」
「……そうか」
「や、矢島さん……おれ、重い?……ふたん?」
 ……それに、不安を煽るのも頂けないな。
「泰二は勘違いをしている様だ。太一は軽いし、平気だ。…太一に触れない方が、俺の身体には悪い……」
「ひゃっ?」
 言いながら、こめかみの辺りに口付けてみた。
 くすぐったそうに身を竦めるが、逃げようとはしない太一にもう一つ。
「んっ……」
 ……相変わらず、柔らかいな。

   ドゴン!!

「わぁ!?」
 ……来たか。
「兄貴ー!!練習行くぞ!!今日は俺と守備練習だからな!!」
「た、たいじ?」
「……行こうか、太一」
「う、うんっ」
 太一を促し、外に出る。
「……矢島さん。あまり兄貴を甘やかさないで下さい」
「……俺は普通に接しているだけだが?」
 ……太一がそんなに好きなら、素直に言えばいいものを。
「え、えと、たいじ~?やじまさん~?」
「……ああ、すまないな、太一。練習、頑張ってこい」
 不安そうに俺達を見上げていた太一に視線を合わせ、頭を撫でる。
 目を細め、嬉しそうに、気持ちよさそうに。
 いつも思うが、可愛いな。……そんな様子を睨む様に見ている双子の弟の方は悲しい程に可愛くないが。
「うーんっ!!おれ、がんばるー!!」
 一頻り撫でた後、手を離せば元気よく、いつもの俺の好きな太一の声が響く。
「…………それじゃ行くぞ、兄貴」
 不機嫌そうにそれを睨んでいた泰二が、太一の手を無造作に掴む。
「わっ、わっ、たいじ~?」
 ……半ば引き摺られているな。
 しかし、あれは……。
 ふと、振り返った泰二と視線が合う。
 …………ああ、宣戦布告だな。
 だが。
 その繋いだ手は、いつまでもそのままにはしておかないぞ?