酔い覚まし
「アーサーさん、着きましたからご自分の足で歩いてください」
「嫌だ、もう少しこのままがいい」
「本当にもう」
そう言いながらも可愛らしいと思ってしまう自分がいる
なんせ今は俗に云う『お姫様抱っこ』状態
ちなみに自分は王子のポジションにいる
「菊の腕ほっそ」
「貴方も十分細見ですよ」
確かに腕に抱える体は弟に比べるとかなり細い
「菊ーこのまま二人で風呂行くぞぉ」
「何考えてるんですか変態紳士」
ドサリと畳の上に落とす
「痛てっ・・・菊のばかぁ」
「いい酔い覚ましにはなりましたか?」
「うーん・・・まだ」
そんな赤く色づいた顔で、潤んだ瞳で、見上げられて耐えられるわけないでしょう?
「では私が貴方の酔いを覚まして差し上げましょう」
ストンとしゃがみこみギュッと抱きしめる
熱く火照った肌が心地よい
「ん・・・菊ぅ?」
重ねた唇も火をうずめたように熱い
木漏れ陽色の瞳と視線が絡む
酔って色づいた頬が更に赤身を増した
そっと名残惜しそうに唇を離す
「そうです?酔い・・・覚めましたか?」
数刻の時が経ちうっとりと夢を見ていたような表情がはっきりした理性を取り戻してきた
「き、きっ、菊!い、い、い、今、何を!!?」
「何って・・・酔い覚ましです」
「お願い!もう一回してくれ!!次は深めに!!」
「もっとちゃんとおねだりしないとしてあげません」
「なぁあああああ!?」
必死に土下座する彼を笑顔で見つめる
「アーサーさん、次は貴方からお願いしますよ」
クスリと含み笑いを落とせば見事に喰らいついてくる
「そんじゃあ遠慮なく」
私は貴方という美酒に酔ってしまいもう二度と覚めることはできないようです