風丸受けまとめ
*円風(高校生)
髪がのびてきた。
次は体育。少しうっとおしいので後ろで束ねる事にした。髪を束ねるのなんて中2以来だ。
俺は中2の冬にのばしていた髪を切って以来、髪は肩に掛かるか掛からないかくらいの長さで定期的に切るようにしていた。
髪を伸ばしていた理由と切った理由は何だっただろうかと考えて、やめた。どうせ忘れる程に些細な事だったのだろう。
そう思い至った後、廊下に見慣れた幼なじみの姿を見掛けた。
「円堂!」
「風丸!やっべ、次体育?」
円堂は脇に生物Ⅰの教科書を抱えて急ぎ足で近づいて来る。
円堂と俺は隣のクラスだから体育が合同だ。
「早くしろ、あと5分だぞ。」
と円堂を急かすが、当の本人はそこに突っ立ったままだ。
「風丸、その髪。」
「ああ、ちょっと切りに行く暇が無くてさ、うっとおしいから結んでんだ。」
ちょいと様子を確かめるように触ると、安っぽい筆のような感触がした。
「なんか懐かしいな。」
円堂はそう言うと俺の髪に優しく触れた。
「もう伸ばさないのか?」
言いながら人の髪をくるくると指に絡めたり結ぶ真似をしたり。
「伸ばしてほしいか?」
「うん!」
軽い気持ちで聞いたのに、力強い返事をされて思わず笑みがこぼれた。
「じゃあ伸ばしてやるよ。」
「ヤッター!」
全身で喜びを表現して、円堂が飛び付いてきた。
何がそんなに嬉しいんだか。
そういえば昔もこんなやり取りしたな、という事を思い出して俺は一人で笑ってしまった。