夢の逆流
番外 ひらたいち
泰二熱出し中&太一付き添い中の一コマ。
「……全く、お前も熱出すぞ」
弟の手を握ったまま寝こける太一の姿に苦笑して。
ふわり、と毛布を背に掛ける。
人並外れて頑丈というか、丈夫なのは解っているが、だからといって放っておく訳にもいかないだろう。
ゆっくり休めば大丈夫だといっても、首を横に勢いよく振って、頑として離れようとしなかった太一の姿を思い出して、また苦笑。
ふと視線を泰二の方へと向けて、
「……愛されてるなー」
笑い交じりのそれは、誰の耳にも届かないけれど。
……少しだけ、嫉妬の色が含まれていて。
それに気付いた本人だけが、三度の苦笑と共に、せめてこれくらいはいいよな?とひとりごちながら、太一の髪を優しく撫でた。