【ヘタリア】兄さんが消えない理由 マリエンブルク城編2-3
「ルートヴィッヒ・・・・・。俺は、俺の「元」へと還る。かまわねえか・・?」
声が震えている。
ルートヴィッヒの声も震える。
「ああ、兄さん。「ドイツ騎士団」に帰ってくれ!」
俺は「ドイツ」だ!!
兄さん・・・・・一緒に・・・俺と一緒に・・・・歩いてくれ・・・・。
これからも・・・!!
ギルベルトは剣を受け取った。
一度、剣を天に向ける。
そして、剣先を地面に向け、両手で剣を自分の前に捧げ持つ。
「我、ギルベルト・バイルシュミットは、ドイツ騎士団の要請に応じる。
我は、還る・・・・・・。騎士団の名のもとに。」
騎士たちは立ち上がり、ギルベルトを取り囲んだ。
ギルベルトは、青年と抱き合っている。
兄さん!
兄さん!!
あなたはもう、消えはしない。
あなたの祈りは、皆に届いている!!
あなたが祈りをささげる限り、きっとあなたは存続する。
俺はドイツ。
あなたは「ドイツ」騎士団。
あなたが願ってやまなかった「ドイツ」が俺ならば、俺はあなたを「俺の騎士」
としてたたえよう!
兄さん!!
あなたと俺は、いつも一緒だ!
きっとこれからもずっと。
兄さんが再び消えようとしても、俺はあなたを消しはしない。
あなたはここにいる。
俺のすぐそばに。
兄さんが消えない理由。
確かな証を、俺は今、見つけたんだ。
「兄さんが消えない理由」
(完)
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ギルベルトはこの城に滞在し、修復に携わった。
数ヵ月後、マリエンブルクの城は世界遺産として登録された。
ギルベルトの記憶の通り、城は修復され、今にいたっている。
数年後、あるミサが行われた。
マリエンブルクの城で、中世の騎士団の総長の墓が発見され、その遺骸が見つかった。
ドイツ騎士団は城に出向き、荘厳な慰霊のミサがおこなわれた。
第17代ドイツ騎士団総長 ヴェルナー・フォン・オルセルン
第20代ドイツ騎士団総長 ルードルフ・ケーニヒ・フォン・ヴァイツァウ
第27代ドイツ騎士団総長 ハインリヒ・フォン・プラウエン
ミサをあげる騎士団の団員の中にギルベルトの姿があった。
祈りは厳かにささげられ、いつまでも響いていた。
作品名:【ヘタリア】兄さんが消えない理由 マリエンブルク城編2-3 作家名:まこ