Like a dog 2
「――ねぇ、夜もさ、淋しくない?ずっと君は一人寝だし、ペットはいないし、抱きしめるフワフワした子犬が恋しいとか、そういうことはない?何なら大型犬のチビと同じように、アニメーガスに変身していない僕自身でもいいけど。……どう、今夜あたり?」
「……今夜あたりねぇ……」
ドラコは思考しているように、あごに指を添えて考えているようだ。
すぐに否定しないのは、いい兆候だ。
あと一押しで何とかなるかもしれない。
「ドラコが望むなら、どんな姿にも変身してあげるよ。君の好みになるよ。こげ茶?クリームホワイト?毛並みは長いほうがいい?ワイヤータイプでも、短毛種でも、なんでもいいよ。僕が変身することがとても上手だってことは、君もよく知っているだろ?」
情感たっぷりに囁くと、ドラコの瞳がなんだか自分の言葉に、色っぽいように潤んでくるのが、ものすごくいい。
ゴクリとドラコの細い喉元が唾を飲み込む。
「……本当にハリー。何でもいいのか?」
しっとりと濡れたような瞳が光を弾いて、とてもきれいだ。
うっとりとそれを見詰めたまま、ハリーも殊更低くて甘い声を出した。
「何でも、リクエストのどおりにするよ。お気に召すままさ。君の好みのタイプになるよ」
耳元に囁くと、ドラコはくすぐったそうに首をすくめた。
「一週間だよ。今日で一週間だ。あの日からね……。もう耐えられないんじゃないの?」
ドラコの手を取ると自分の手を重ねて、やさしく指を絡めて撫でる。
「―――あぁ……」
なんだか別の意味になりそうな気持ちよさげな表情で、ドラコは目を細めた。
「一週間もよく我慢したよね、ドラコ。……もういいんじゃないの?やせ我慢は体に悪いよ。素直になって……」
ほとんど相手を口説き落とす要領で、ドラコに擦り寄る。
当のドラコはまるで夢心地のままの表情を浮かべたまま、コクリと頷いた。
「待ってる、ハリー。今夜、部屋に来て」
その言葉にヤニ下がった顔を必死で隠すと、やさしい笑みのまま相手の耳元に顔を寄せる。
「うん、分かった。消灯時間が過ぎたら、すぐに行くよ。君のために、とびきりかわいくしてね」
ドラコはけぶるような長い睫毛をしばたかせて、嬉しそうに笑う。
ハリーは心の中で、勢いよくガッツポーズを取ったのは言うまでもないことだった。
作品名:Like a dog 2 作家名:sabure