レグリ短いの4本詰め
「おい」
「痛っ」
屋上でぼうっと空を眺めていると、影ができたと思った瞬間に何かで頭を叩かれた。振り返ったそこにいたのは、丸めた教科書を手に持ってどこか不機嫌そうな顔をしたグリーン。珍しく眼鏡を掛けたままだ。いつも学校では授業中にしかしてないのに。
「何してんの?」
「お前を連れ戻してくるように担任に頼まれた」
何で学級委員でもないのに俺が、とぶつぶつ言っているが、それは俺とお前が幼なじみで腐れ縁だから仕方がない。諦めてくれ。
お互いの居場所を聞かれたりとかよくあるし、こうやって俺が授業をサボっている時にグリーンが連れ戻しに来たのも初めてではない。周りからは俺達二人で一セットとして認識されている。
はあ、と溜め息を吐きながら俺の横に腰を下ろすグリーンに授業に戻らなくていいのか、と聞くとお前に引き留められたって言っとく、と返された。そして視線の先はすでに持ってきた教科書に移っている。畜生、優等生め。
ごろんと仰向けになってグリーンの太腿の上に頭を乗せる。顔に手を伸ばすと何なんだ、と言いたげな顔をされた。
「俺、グリーンが眼鏡してるの好き。なんかえろい」
「……」
「痛ぇ!」
また叩かれた。というか教科書の角がでこに直撃した。軽くだったけど地味に痛い。
「ったく、お前は…いいから大人しく寝てろ。鬱陶しい」
目の上に手のひらを乗せられてしまった。こうされたらもう瞼を閉じるしかない。授業終わったら起こすからな、という言葉におやすみのちゅーは?と笑いながら返したらまた叩かれた。
でこ、赤くなってそうだ。
【そんないつもの彼ら】
作品名:レグリ短いの4本詰め 作家名:あおい