レグリ短いの4本詰め
「レッドさーん!」
もうすぐ夕方になるかな、という頃にやってきた女の子。どうしたの、と聞くと、手に持っていたものを掲げてにっこりと笑いながらコトネは告げた。
「今日グリーンさん来れないらしいんで、お使いです」
お礼を言って受け取る。袋の中を見るといつも通り弁当が入っていた。環境のせいもあって大した食事をとらない僕を見兼ね、グリーンは週に数回それを持ってきてくれるようになった。ちゃんと色合いやバランスが考えられているのが見てとれる。結構手間も掛かっているだろう、しかもおいしい。
「…ナナミさんにお礼言っといて」
いつも作ってもらって申し訳ないと思う反面、ありがたいとも思う。次にマサラに帰った時はお礼言わないと。
そんなことを考えていると、コトネは僕の言葉を疑問に思ったらしく小首を傾げている。
「え?何でナナミさんに言うんですか?」
「だって、いつも手間かけさせて作ってもらってるし」
「…レッドさん、知らないんですか」
これ作ってるの、グリーンさんなんですよ。
その言葉にびっくりする。だってグリーン、一度もそんなこと言わなかった。いや、ナナミさんが作ったとも言われてないけど。
いつもぶっきらぼうな感じで渡してきて、時々おいしいかどうか聞きながらじっと僕が食べているのを見ていた気がする。
「そっかぁ、言ってなかったんだ」
ふーん、と意味深な顔をしながら弁当を見るコトネ。
「愛されてますね、レッドさん」
にやにやとからかうように笑われ、どこか気恥ずかしくなってそれを誤魔化すように帽子の鍔を少しだけ下へと向けた。
「…あげないよ」
「いりませんー。もうお腹いっぱいです」
弁当と取ったのか、グリーンと取ったのか。まあ、どっちにしろあげないんだけど。
【俺の。】
作品名:レグリ短いの4本詰め 作家名:あおい