黄龍妖魔学園紀 ~いめくらもーどv~
長い息を吐き、村雨は礼の言葉を口にした。
「今回の事件のせいなのか、もともとなのかはわからねぇが、あの御仁は少しばかり精神的に疲労して不安定になってるらしい。まぁ、滅多なことはしやしねぇだろうが、ちょっとばかり余計に気をつけてやってくれ、頼む」
しばらくの後、舞子は頷いた。
「うん。わかった。……ダーリンも、皆、心配してるの知ってるから、きっと大丈夫だと思うよ」
「ああ、俺もそう思う。だが、どうも信じきれねぇ。ただごめんといって、最悪の――いや、疲れてんのはセンセイじゃなくて、俺のほうなのか?」
表情を歪める村雨の腕に手を置き、舞子は笑みを浮かべた。その優しい顔をしばらく見つめ、村雨は小さく声に出して笑った。
「アンタ、ホントに天職だな。――話はあんまり面白いもんじゃあねぇと思うが、店のほうは期待しててくれや」
鈴を転がすような笑い声に、やっと村雨は力を抜いて笑った。
作品名:黄龍妖魔学園紀 ~いめくらもーどv~ 作家名:東明