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【腐向け】西ロマSS・7本セット

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あいことば


「バッファンクーロ! ふざけんな、このアホスペイン!!」
 世界会議終了後、会議室にロマーノの怒声が響く。
 周りの国々は一度驚いて声がする方向を見たものの、そこに居る二人を見て「ああ、いつものか」と視線を戻した。
「あはは、ロマの顔、トマトみたいやんな〜」
 怒声をものともせず、スペインがロマーノの膨れたほっぺたを突く。
 いつもそれで更に怒られているというのに何故毎回するのかと、日本は心の中で突っ込んでいた。
「にほん〜、ご飯、何処行くー?」
 案の定怒り倍増のロマーノを気にも留めず、ヴェネチアーノがランチの話をしてくる。
 この状況はどうでもいいのだろうか。他人が口を出す場面では無いのだろうが、弟であるヴェネチアーノは何か言うか止めるかしてもいいだろうに。やや引きつり気味の顔でランチの提案に乗っていると、ドイツが眉間の皺を深めながらこちらにやって来た。
「おい、イタリア。お前の兄をどうにかしろ」
 うるさくて敵わないと、ヴェネチアーノに協力を要請する。そのドイツの話に答えるより先に、ロマーノが大きな声で叫んだ。
「ケ・バッレ!! この変態トマト!」
 真っ赤な顔のまま会場を出て行くロマーノを、ヴェネチアーノが笑顔で見送る。
「ヴェー、隊長! 任務完了であります!」
「お前は何もしていないだろう……」
 何故か得意げなヴェネチアーノに、ドイツが額を押さえながら突っ込みを入れる。
 そのまま何事も無かったかのようにランチの話に戻る姿に、日本はどういう表情をしたらいいか困った。意外とドライな兄弟関係なのだろうか。……その割には仲が良いように見えたのだが。
 スペインの様子を窺えば、何故か頬を染めて嬉しそうにしていた。

 ロマーノに逃げられたスペインが、視線に気付いて手を上げる。こちらに歩いて来ると、ヴェネチアーノに笑顔で話しかけた。
「イタちゃん、これから予定ある?」
「ドイツと日本と三人でご飯―!」
 笑顔のスペインをバッサリと切るその姿に、日本は冷や冷やする。これはみんなで一緒に御飯でも、の流れではないのだろうか。ちらりと隣りのドイツを見れば、ドイツも同じような何とも言えない顔をしていてホッとする。
(ですよね、そういう流れですよね!)
 だが、スペインはそのヴェネチアーノのセリフに笑顔のまま頷いた。
「へー、そうなん。ゆっくりして来ぃ。俺もロマとご飯して来るわ」
 あれだけ怒鳴られていて、何という打たれ強さ。スペインの器の大きさとロマーノへの溺愛を見せつけられ、日本とドイツは言葉を発する事が出来なかった。
 慣れているのか、ヴェネチアーノだけが笑顔で応える。
「今日はドイツの所に泊めて貰うから、ホテルの鍵、スペイン兄ちゃんに渡しておくよ」
「おおきに」
 笑顔で鍵を受け取り、スペインが会場を後にする。暫くして会話の内容に気付いたドイツが、ヴェネチアーノに抗議した。
「勝手に決めるんじゃない!」
「ヴェー。だって、だって! 兄ちゃん達の喧嘩に巻き込まれるのやだよー」
 ……確かに。さっきの怒鳴り合いを聞いていれば、ホテルでもどうなるかは想像がつく。気持ちは分からなくもなく、ドイツは渋々了承してまずはランチへと皆で会場を出た。
 歩きながら、ふと思った疑問を日本はヴェネチアーノに投げる。
「イタリア君、ロマーノ君はスペインさんと仲が悪いのでしょうか」
 スペインからの溺愛は見てとてるが、ロマーノからの反応はいつもあれだ。照れているのも分かるが、それにしても罵詈雑言が多い。口が悪いのを差し引いても、あまり喜んでいないのでは……と心配になった。
 その日本の心配を、ヴェネチアーノが気楽に答える。
「だいじょーぶ! 兄ちゃん達、すっごく仲良いんだよ」
「あまりそうは見えないが……」
「何時も一緒に居るしね」
 その言葉に、ああそういえばと頷く。会議室のイタリアの席にロマーノが居ない時は、大抵スペインと一緒に居た。
「私の家の言葉で言う『喧嘩する程仲がいい』という事でしょうか」
 日本の言葉に、ヴェネチアーノが同意する。
 心配するだけ無駄だという弟の言葉の説得力に安心し、話はこれからのランチの内容についてに移動した。

 話が変わり、ヴェネチアーノはホッとする。
 大丈夫の根拠を話す訳にもいかず、なんとか誤魔化した罪悪感が胸に少し残った。間違ってはいないのだ。喧嘩はするが、仲は良い。
 以前話したスペインとの会話を思い出す。あの時も、兄の最後の言葉は「変態トマト」であった。さすがにあんまりかと思い、スペインにフォローを入れようと思ったのだ。
「スペイン兄ちゃん……、俺から兄ちゃんに話してみようか?」
「ん? 大丈夫やで?」
「でも……」
 心配する自分に、スペインは一度辺りを窺うと、声を潜めて秘密を打ち明けた。
「大丈夫やって。……あんな、『変態トマト』って、ロマーノからのお誘いやねん」
 そう言って、恥ずかしそうに笑う。意味が分からないという顔をしていたのだろう、更に言葉が続いた。
「ロマって照れ屋やん? あの子自分からお誘い出来へんから、合言葉作ってん。『変態トマト』いうたら、それまでどんな話してても『今日はOK』って意味になるんやで〜」
 ニコニコと嬉しそうにスペインは話す。その内容に、ヴェネチアーノは心配していた反動で、がっくりと床に膝をついた。あれだけ怒鳴り合っておいて、内容はただのラブラブお誘いって……!!
 落ち込む姿にスペインが苦笑する。心配させて悪かったとは、一応思っているらしい。
「あ、イタちゃん。これロマーノには内緒な」
 ウインク付きで言われる言葉に、声も無く首を縦に振った。……言える筈が無い。自分が合言葉を知っていると分かれば、照れ屋な兄は二度とそれを口にしないだろう。

 あの日以来、ヴェネチアーノは兄達の喧嘩を生ぬるい視線で見守ってきた。
 最後に兄が合言葉を言う度に、なんとも言えない気持ちが湧くが、仲が良いのは良い事だ。そう思い、その日は家やホテルからなんとなく席を外す事にしている。

 空を見上げて溜息をつく。
(あのバカップル、早く落ち着かないかな……)
 その心の声は、ドイツの自分を呼ぶ声でかき消えた。


END