虹の作り方
「できた!」
にへらとクリームをほっぺたに付けたまま満面に笑みを浮かべるデスマスクに「クリーム付いてるぞ」と注意すれば、そのままの言葉を返された。嘘、マジで?と慌てて鏡を覗く込めば、ツンと立てた髪の先に乗っていた。
か、かっこわるい・・・と恥じ入っていると、デスマスクが、出来立てホヤホヤのケーキ(1ホール)を箱に入れ、どこかへ行こうとした。
「おい、ちょっと待て、どこへ行く?」
「どこって・・・決まってんだろ?シャカんとこ」
くらりと目眩さえ起きながら、正直、もうどうでも良かったけれども、念のために聞いておいた。
「さっき喧嘩したばっかりなのに、よく行けるな。それに喧嘩の原因は何だったんだよ。手伝ったんだから、それくらいは教えろよな」
「別に喧嘩なんかしてないぜ〜?あれはほら、ちょっと度が過ぎるくらい構い過ぎて、シャカが拗ねちまっただけだし。んで、理由?理由はなんだったっけかな・・・あれ?なんだっけ、忘れたわ」
「いい記憶力してんな。おまえ」
だろ〜?と、にこやかに笑顔を向けられて、もう何も言いたくなくなってしまった俺は追い払うように掌でシッシッと合図した。
「もういいから、さっさと行っちまえ。また機嫌損ねて宮を破壊されたら、教皇に睨まれんぞ?」
「おお〜!じゃ、またなシュラ!」
ひょっこひょっことステップ軽やかに立ち去っていくデスマスク。なんだか、アイツが将来間違った道に進んでしまうような予感が、このとき横切ったのだった。
Fin.