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その日にかこつけて

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「…誕生日おめでとう、忠夫」
「…随分と重いプレゼントとやらを貰ったよーな気がする…」
 頭を撫でられながら、疲れた様に横島が呟く。
 一緒の布団で双方一糸纏わぬ姿で。
 何をしていたかは明白だ。
 鬼道は苦笑しながら、尚も頭を撫でている。
 誕生日にかこつけて、色々を背負わせた自覚があるから。
 …肉体的な負担を掛けた自覚もあるし。
 しかし、伝える事はまだあって。
「…忠夫が」
「うん?」
「生まれて、生きててくれて、良かったわ」
「…えーと」
「ありがとうな。ボクと出逢ってくれて」
「んぎゃああぁ!!はっ、恥ずかしい事言うなぁぁ!!!」
「ええやん、別に」
「あああもうこいつはっ!!」
 顔を真っ赤に染めながら。
 ぎゃあぎゃあ騒ぐこの子へと。
 鬼道は綺麗に笑ってみせた。



 もしも。
 もしもなのだけれど。
 ああいうモノに成り果てた時。
 砕いてくれるのがこの子なら。
 そんなモノに成り果てても、構わない。
 絶対に誰にも言わない昏い妄想と願いを。
 鬼道は笑みの下へと隠している。





オマケのその後。

「…政樹って」
「ん?」
「……何でもない」
「…いや、途中でやめられると気になるんやけど」
「…エロい、激エロ、独占欲強すぎ、狡い、その他諸々、どれだと思う?」
「何やねんその他諸々て!?」
「はい時間切れー」
「早ッ!?」
「…全部だ阿呆」
「酷ッ!?つーかその他諸々は一体!?」
「やかーしー!!結局一日コレで潰すたぁどーゆー了見だぁっ!?」
「…あー。まぁ、ボクもまだ若いんで」
「だからって腰立たなくなるまでヤんじゃねー!!このエロ教師ー!!」
「それは色々と誤解が生じるからやめてほしいんやけど!?大体こうなるのは忠夫にだけやぞボクは!!」
「そーゆーコト言うのはやめれぇぇ!!」

 何だかんだと。
 昏い願いが潜んでいようが、狂気じみた思考を持っていようが。
 結局の所、二人の日常は、こんなもんなのである。


作品名:その日にかこつけて 作家名:柳野 雫