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【腐】やきもち【臨帝】

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やきもち



十月も半ば冷たい風が吹くようになり
寒さに体が身震いをする季節になった。
学校の帰り道。委員会でいつもより帰りが
遅くなってしまったけれどどうしても読みたい
本があって今日は取りに行くつもりだった。駅近く、
南池袋にある本屋に出た頃には日は暮れてしまっていた。
思ったよりも寒い空気に体は震える。失敗した、コート着てくればよかったかな。
僕はポケットにしまっていた携帯を取り出してメールを開いた。
『今日は学校の帰りに池袋の本屋さんに
行く予定なんですけど、今日はどうしていますか?』
今朝、僕が臨也さん宛に送ったメール。
ほんの三十分前に臨也さんから返信がきていた。
『ごめんね、今日は忙しいからまた今度。明日連絡する』
残念、折角なら会いたかった。最近臨也さんとはすれ違いが
続いていて会っていない。時々チャットやメール電話はしている
けれど三好君が転校してきて偶然街の中で遭遇した時以来会って
いないんじゃないかな。

「会いたい」と、素直に言えたらいいのに。飛んできてくれる
だろうかあの人は。仕事をほったらかしたらそれはそれで
僕はきっと怒ってしまうだろうな。嬉しいけど複雑だ。
なんて、考えていた時だった。
人混みの中に自分のよく知る二人を見つけたのは。

臨也さんと、三好君がいた。
え、どうしてあの二人。
最初に浮かんだのはそんな疑問。

臨也さんが笑って、三好君も笑っている。
視線を逸らす事が、できなかった。
二人は何か話しながら一人では入っていくのを躊躇う程
高そうなレストランの中へ。





池袋某ファーストフード店


数日後僕と三好君は二人で店にいた。それはお互いに
情報を交換するためでも作戦を練るためでもある。
最近街を賑わせているダラーズと黄巾族、そして
偽ライダーに続き、池袋クリーン化計画。
ある出来事をきっかけに三好君には僕が
ダラーズの創始者の一人だと話してしまった。
熱でうなされていたとはいえ迂闊な事をして
しまったかな、と思った。どうしてだろう、
三好君には人を惹き付ける魅力的なものがある気がする。
僕には持っていない彼だけの一面。だから、だから臨也さんも…。
「竜ヶ峰君?」
「へ!?あ、あ、えっとごめんね!」
「まだ少し風邪ぎみだし、大丈夫?」
しまった、全然話し聞いてなかった。
「うん、ごめんね。あの、全然大丈夫だよ」
「そう?ならいいけど」
そう言って、三好君は飲み物のストローに口を付けた。
どうしよう、この間の事、聞いてみたい。臨也さんから
三好君も情報を教えてもらっているという事は二人に
接点があるって事はわかる。……わかっているんだけど。
気にならないわけがない。

だって、臨也さんと僕は付き合っている。
いわゆる恋人同士の関係なんだから。こればっかりは
三好君にはまだ内緒にしているけれど。
一通りお互いに情報を交換し合い、作戦の話しも
ひと段落した。
「あ、あの、さ」
なんて、切り出そう。
「どうしたの?」
「………」
「何か悩んでるの?」
心配そうに彼は僕の様子を伺ってくれている。
「あ、えっとその…」
「よかったら話してよ」
「う、うん……」
「ぼ、僕のね、友達!友達の話なんだけどね。…年上の
恋人の事で悩んでいるみたいなんだ」
「恋の相談かあ」
三好君はそのまま僕の話しを聞いてくれる体勢になる。
僕は視線を泳がせたまま少し落ち着くためにストローに口を付けて
飲み物を吸ってごくんと一口飲むと口を再び開いた。
「う、うん。でね、その恋人がすごくかっこよくてさ、
とにかくモテるし頭も切れる人で、僕も会った事あるんだけど
話しが上手くてすごく楽しい人なんだ」
「それは、大変だね。友達も気が気じゃなさそう。色々と」
「そう!大変なんだよ!いっつも振り回されて!…って、友達も言ってて!
……最近、ね。友達の、友達がその恋人と仲が良いみたいなんだ。恋人に
さりげなく会ってるのか聞いたら「面白いよね、楽しい子だよ」って平然と言っちゃって
単に興味があるのかなって最初は思ってたんだけど、どうも僕の知らない所で
二人で会っているみたいで…その、友達が見かけて…気にしている、みたいなんだ。
自分と一緒に居る時間よりも優先されちゃったって思うとって…色々と…」
言っちゃった。言ってしまった。
「成程、よくある話だよね」
「うん……」
「僕も残念ながら今まで彼女とかいなかったしよくわからないけど、
相手を信用するって事も大切だけど難しいよね」
うーんと真剣に三好君は腕を組んで考えている。
「好きだからこそ相手の行動とか気になるよなあ」
「そう、だね」
「つまりその友達は友達に嫉妬しちゃってるって事だもんね」
「へ!?」
しまった、うっかり変な声が出てしまい三好君も不思議そうに
僕を見た。
「そ、そうだよね!うん。そう、なんだと思う…
恋人も、友達も、どちらも大切だから…」
だからといって、こんな聞き方をしている僕は卑怯だけれど。
「でも、信じてるんでしょ?恋人の事」
あの人の愛を疑っているわけじゃ、ない。
あの人なりに僕を愛してくれているなあって
実感する事はたくさんある。
「や、やっぱり聞いてみた方が良いかな?ちゃんと」
「うん、それも一つの選択だよね。でも、俺の事信用してないの?って
怒りそうだよねその彼氏。なんだかそういう人って意外と子供っぽい一面とかありそう」
全くその通りである。
「だよね、僕もそう思うよ…」
「ごめんね、折角話してくれたのにあんまりアドバイスできなくて」
「ううん!そんな事無いよ!話しを聞いてくれただけでも
すごく嬉しいよ!ありがとう」
勝手だけれど胸につかえていたものが少し晴れてスッとした気がする。
…うん、そうだよね、僕が臨也さんを信じなければ、と思うけれど
なにせ相手はあの折原臨也だ。何を考えて三好君に興味を持っているのか
気になる。……気になる。それも、僕の知らない所で二人で会ったりして…
「上手くいくといいねその友達」
「う、うん!」


「いやー青春だねえ」


ほっとしたのもつかの間。
その声に僕の心臓は大きく飛び跳ねた。
「やあ竜ヶ峰君、三好君こんにちは」
「あれ、臨也さんだ。こんにちは」
手ぶらでこちらの席に歩いてくる臨也さん相手に
ご丁寧に挨拶をしている場合じゃないです三好君。
僕はどうすればいいんでしょうか。何でこの人
いつもこう、突然に現れてくれちゃうんでしょうか。
竜ヶ峰君、なんて滅多に呼ばない癖に。明らかに
今の会話聞いていたって事だよねこれ。
「い、臨也、さ、い、いつから、」
「ついさっきから。たまたま二人の姿を見かけたんだけどさ、
なんだか面白そうな会話をしてるじゃない。ごめんね
盗み聞きしちゃったわけじゃないけど恋の相談なら俺大得意だよ」
「ああ、臨也さん。女性の人にもてそうですよね」
「まあおかげさまで」
そしてなんてタイミングだろう。三好君の携帯電話が
鳴った。家族かららしくどうやら家の用事ですぐに
帰らなければならないようだ。
「あ、あの、三好君帰っちゃ─」
「うん、ごめんね。ほら、臨也さんならきっと
僕よりも頼りになるよ。恋の相談ならさ」
「や、えっと、その!」
作品名:【腐】やきもち【臨帝】 作家名:りい