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Goodnight

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そのドラコが今では深く傷を負い、すべてを失っている。

望まぬまま英雄と祭り上げられている自分と、闇の陣営に追従し敗者として倒れたドラコ。
今ふたりが立っている場所のちがいに愕然となる。

(―――会わなければ)
強くハリーは思った。

しかし次の瞬間、
(別段、自分が会いに行っても、相手が喜ぶ訳でもないし……)
顔を曇らせて、バサリと書類の束を机に戻した。

しかしその書類から目を離すこともせず、じっと見詰めたままハリーは自分の中の思いに困惑する。
なぜこんなにも強く再会を願うのかすら分からず、うまく考えがまとまらない。
相手は仲のよかった学友でもなく、仲間でもなく、ましてや同寮ですらなかった。
自分との共通点など何一つもない。
それなのになぜか会いたいと思った。

敗者の彼を嗤いたい訳ではない。
再会してもどうなるという間柄でもなかった。

それなのに―――

結論が出ない混乱した思考のまま、その翌日にはハリーは箒を駆ると、深い谷間のその場所へと赴いた。
荒れ果てた赤茶けた大地にポツリと粗末な小屋が建っている。
門はおろか柵さえもなく、すべてから取り残された場所にそれはあった。

ためらいがちに木製のドアをノックすると、それに応えるようにこちらに向かって歩いてくる靴音が、建てつけが悪そうなドアの隙間から漏れてくる。
それは不自然なほど、ひどくゆっくりとした足取りだった。

やがてノブが回り扉を開いた彼は、ドアの前に立つ予想外の相手に別段驚いた顔をしなかった。
5年ぶりの再会に表情すら変えず、あのときのままの蒼い冴え冴えとした瞳で、じっとハリーを静かに見返したのだった。


           ■続く■

作品名:Goodnight 作家名:sabure