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ファーストネイション(北米兄弟)

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「これ、フランスからの手紙。」
 新しく面倒を見ることになったちびすけのカナダに、ほんの一瞬だけ保護者だったフランスからの託された手紙を渡す。
「ふらんす、さん?」
 ちびすけは嬉しさと不安の入り混じる表情で、それでもその名前と受けた恩義を思い出して、目を潤ませるように輝かせると、そのいびつに膨らんだ手紙を受け取った。
 中身はフランス語。俺には読めねぇけど、その内容の意訳、雰囲気は先に妖精達に察してもらった。(だからカナダに渡す事にした。変な事が書いてありゃ勿論渡さねぇ。)
 読み終わるとカナダは、その封筒をいびつにさせていた正体、なんかの種をざらと手のひらに落とし、それを見つめるとまた目を潤ませ輝かせて、うんうんとその手紙の内容を噛み締めるように頷いていた。


 フランスがコイツの面倒を見ていたのは、ほんとうにわずかで、たったの2年ほどだった。俺達国の長い年月から見りゃ、一瞬もいいとこ。だがその一瞬でカナダはフランス語をマスターし、フランスの建築物を作り、フランスの文化をそのふわくるの髪として表して、締めに、先日の手紙だけで、農耕まで覚え、行い始めやがった。
「いぎりすさん。パンケーキおいしいですか?」
「まぁ悪くねぇんじゃねぇか?」
 カナダの用意してくれたこのパンケーキの小麦は、他ならないあの手紙でフランスが送った種子の一つだ。カナダは先にフランスが残した本を読んで、あの小さな種を大地に広がる金色の絨毯へとの変貌を成功させた。
 少し面白くない気持ちでパンケーキを噛めば、こいつんち特産のメープルシロップがじゅわっと唇まで垂れる。
 ――そりゃ面白くねぇよ。折角手に入れたカナダは、どこまでもフランスのお手付きなんだからよ。
 ちびすけのカナダは俺の無言のぱく付きを、えへへと嬉しそうに眺めている。(恐らく、“ふらんすさんの小麦でイギリスさんをもてなせて嬉しいな”だろうよ。)
「……なんだよ、眺めてねぇでお前も食えよ。」
「はい、妖精さん達もどうぞ。」
 ちびすけはテーブルの上にいっぱいに広がる、綺麗に焼いたパンケーキに、メープルシロップをふんだんに掛ける。立ち込める甘い樹液のにおいに、俺のツレの妖精達は、嬉しげにひゅんひゅん飛び回り、そのフランス産小麦のパンケーキを旨そうにパクつきだす。
「いやね、アーサー! もうカナダで採れたんだからカナダ産でしょ?」
「そーうだよーう、アイツにそんな拘ることなーいよーう!」
「アーサーは、本当はフランスが好きだから気になっちまうんだよな!」
 ティンクとコボルト、ウィスプの言葉に、カナダは嬉しい驚きの顔で、「本当!? イギリスさん!」って聞いてきやがる。
「お前らメシは黙って食え! カナダが本気にしちまうだろ!?」
「大丈夫よカナダ! アーサーはちゃんとフランスが好きだから!」
「ティンク!」
 ティンクはカナダの周りをふわふわと飛ぶ。そしてパンケーキにダイブした。
「あー! このメイプルシロップって本当に素敵! やっぱり甘味は樹液に限るわぁ〜!」
 ホットケーキをベッドよろしく、バウンドしながら寝転がってやがる……妖精の品格台無しじゃねーか。
「……お前、本当はカブトムシなんじゃねぇの?」
「しっつれいね! アーサー! こんな素敵なレディに!」
 ティンクはメープルべっとりで、メープル臭を撒き散らしながら飛び上がるが、シロップで羽根が重たいらしく、うまく飛び上がれてねぇ。
「おいおい、お前今カブトムシ以下んなってんぞww デブって全然飛べてねぇww」
「言ったわねぇ!?」
「ティンクさん! イギリスさん!」
 俺達の間にちびすけのカナダがまぁまぁと入ってくる。
「ティンクさんの気持ち、僕もすっごい分かるよ。僕もメープルのプールで泳いでみたいもん。アーサーさんも! メープルは、サトウカエデはとっても素敵なものなんですよ? よろしかったらサトウカエデの苗木を何本かお持ちになりますか?」
 にっこりと笑うカナダのその顔は、“僕はフランスさんに種子貰ったから、アーサーさんには苗木を贈ります”と言っているようで……。
「お、俺んとこの紅茶もすっげぇおいしいんだからな!?」
「そうそう、こいつがシめたスリランカ産のお茶な! イギリス産じゃねぇから安心して飲めるぜ!」
 小カバが紅茶を注ぐ横で、コボルとがその香り立つ良い香りに鼻を澄ませながら告げやがる。
「お前はどっちの味方なんだよ!」
「俺は美味しい物の味方だぜ。」
「もう! アーサーも、こんなちっさい子の前で寂しい自慢なんてしなの!」
 メープルまみれでべとべとのティンクが、俺の顔にダイブしてきやがった。


「ほら本、やるよ。」
「わぁ! ありがとうございます、イギリスさん。」
 先日アメリカに渡して、「くたばれイギリス」と言われたプリンキピアをやれば、カナダはそれをニコニコと静かに読み始めた。
 ――本っ当にイイ子なんだよなぁ。
 カナダを眺めてわかった事は、コイツは本当に大人しくて、すごい大人しくて、大人しすぎて思わず存在を忘れるくらいの、素直な良い子供だって事だった。
 ――やっぱスピリットがいる大陸は違うな! あーあ、アメリカもスピリット大事にしてりゃ、あんな乱暴で粗野でやんちゃすぎるガキにならなかったのに……。
 しっかし、地続きの大陸だってのに、どうしてこんな性格が違うかね。と思った所で、ピンと来る。そうだ、地続きなんだから、こいつらを一緒に育てればいいんじゃねぇか!?
 ――そうすりゃあの生意気乱暴のちびすけも、コイツに影響を受けて大人しく知識も蓄えて、俺に似た立派な紳士になるんじゃねぇの?!
「そううまく行くかしらね、アーサー。」
 俺の考えを読んだティンクが、ふわふわと俺の傍にやってくる。ごほんと咳払いを一つする。
「やっぱ子供は子供同士が一番、そこに俺と言う保護者がいて監督すりゃ、あのアメリカもちったぁ子供らしく大人しくなるだろうよ。だって二対一なんだぜ? もう従うしかねぇだろう?」
 “アメリカと同じ子供であるカナダを自分側に引き込むことで、優位に立つ”というその言葉に、ティンクはによによとした笑いを浮かべる。
「え〜、こんなに顔も似てる、なにより一つの大地の子供なのよ? むしろ、カナダはアメリカ側に立って、同じ乱暴者になってアーサーを泣かせちゃうんじゃない?」
「こらぁ! そんな事言うなぁばかぁ!!」
 ぷんすこと怒るアーサーに対し、ティンクはあははとカナダの方へひとっ飛びする。
「ねーカナちゃん! 同い年のお友達欲しくない? お友達っていうか、あなたの兄弟なんだけど!」
「兄弟?」
 ティンクの言葉にカナダは顔を上げる。ティンクがおかしな事を喋る前に、イギリスは先にそれを話す。
「あぁ、そうだぞ、カナダ。お前には兄弟がいるんだ。ここからちょっと南にある大陸でな、お前と同じチビぃ奴で、ちょっと年上の兄弟だ。」
 俺の言葉に、カナダは目をきらきらさせてくる。
「年上の兄弟!?」