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みとなんこ@紺
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GOD BLESS YOU

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 入りますよー、と。いつもと同じタイミングで、いつもと同じノックを3回。ついでに適当に声を掛けて入室許可の返事を待つ。
 が、いつもなら何らかのいらえが返ってくる筈の執務室のドアは沈黙したまま。
「・・・ありゃ?」
 どうしたのか、ともう一回ノック。
「大佐ー?」
 ・・・返事がない。
「…人に資料持ってこいとか呼び付けといて…」
 どーゆーことだ。もしかして寝てるのか?だが仮にも上官の執務室だし許可なく入ったら機嫌次第では怒られそうだし、あーでもこの資料重てぇなクソ、ホントにこれ全部目を通す気かというかこんなんすぐ目を通せるんだったら、普段から真っ当に仕事してくれないもんかってもー取りあえずこれどっかに降ろしてぇ。
「はぁ…」
 かく、と肩をおとした。一息に色々考えてはみたが、結局リアクションはそれだけに止まった。
 溜め息ついでに落とした視線の先には、小山と化しているファイルの束。
 中央の古い地図、過去の未解決事件資料、破棄された軍の研究機関一覧エトセトラエトセトラ・・・。
 あの人の背負ってる、国家錬金術師の肩書きは伊達ではないらしい。
 ・・・知ってたけど。普段はあんまり発揮してくれないおかげで微妙に忘れがちだが。

 軍の資料は膨大だ。
 ただそれを権限ギリギリまで使って、あの人は洗い出そうとしている。
 自分の望みと、彼の親友の死とは必ず同じ線の上にあると彼は言った。
 このまま進めば必ず同じ所に突き当たると。
 そしてあの人は何であろうと許さないだろう。彼を永遠に届かないものにしたその存在を。
「・・・重・・・」




「ハボック少尉?」
「おっ…と、ってあれ?」
 こんなに近付かれるまで気付かない程ぼうっとしていたようだ。ほとんど真後ろからの声に、内心少々焦って振り返ると、見覚えのある軍法会議所の事務員が立っていた。軍部には不似合いなぽんやりとしているが、今は少しばかり緊張しているような面持ちで見上げてくる。
「えーっと、シェスカ、だっけ?」
「はい。えと、あの・・・」
 辺りを見回して誰もこちらを見てはいないことを確認し、シェスカは声を潜めた。
「先程マスタング大佐がこちらにみえられて、いつもの所にいると…」
 伝言のついでに資料お預かりに来たんですが…。
 流石にハボックの腕の中の資料の山に目をやると、圧されるように徐々に声が小さくなっていく。思わず小さく吹き出した。それはそうだろう、普通女の子にこんな量持てる筈がない。
「いいよ、俺が持って行くから」
「す、すいません~」
「いいって。あの人がそう伝言したって事は『お前が持ってこい』って事だ」
 いつものあそこで良いんだよな?と問い掛けると、ようやく彼女は人懐っこい笑顔を見せて頷いてくれた。


作品名:GOD BLESS YOU 作家名:みとなんこ@紺