【腐向け】Maybe,it will be alright.
なかったって言ったら嘘になる。でも、さっきの芝居の中でさ、俺も、何となく報われた気がするから、いいんだ。
・・・それに今は、トキヤが居てくれれば、それでいい」
ぎゅっと、さっきまで包むように回されていた腕に力が籠る。結局、離れられないのはどちらも同じらしい。どちらかが
いなくなったら歩いていけなくなりそうだなんて、全くどうかしている。ふっとどこか自嘲気味に微笑んで、トキヤは
そっと音也の背に腕を回した。
「・・・どうやら私も、貴方と同じようです、音也。・・・進める限り、行ってみる覚悟はありますか?」
「もちろん。・・・・どこまででも」
そう言って、お互いの肩越しに笑い合う。どちらかが欠けたもしもの未来も、無いとは言い切れないのは分かっていた。
果てだって案外すぐ傍にあるかもしれない。それでも、舞台のスポットライトが光るのを見つけられる限り、どこまでも
行こうと、そう誓いを立てた。
作品名:【腐向け】Maybe,it will be alright. 作家名:豚なすび