二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

座敷童子の静雄君 2

INDEX|8ページ/12ページ|

次のページ前のページ
 

「まぁ兎も角、早く帝人ちゃんの所へ行ってやれ。ああ、看護の仕方判るか? ヒエピタはオデコだけじゃなくて、首や両脇にも張ってやると、熱が下がりやすいからな。スポーツ飲料は絶対冷やすな。常温状態のまま飲ませてやれ。カイロは布団の中で使うと熱が篭るし、低温火傷が怖いから止めとけよ。それから……、あーやっぱ心配だわ。そうだ、俺もついていってやろうか? ……その荷物、俺が持つから貸しなって」
「……いいっす……」

見た目がコレだからと思いたいが、トムが何時もと違い、本物の幼子を相手にするように優しすぎ、ちょっとだけイラっときた。
「でも、お前ちゃんと今晩中に体に戻れるのか? 俺、お前担いで家に送り届けようか?」
「……いいっす。俺、すぐ、……戻……ります……」

其処まで迷惑はかけられねぇ。
ちゃんと自分の足で帰れるとも。
トムの好意をありがたく両腕に抱え、静雄はぺこりと一礼すると、とたとたと全速力で帝人の家へ、とんぼ返りした。




静雄が辿りついた時、帝人は発熱の為、真っ赤な顔をしていたが、すやすや眠っていた。
体温計が無いから、今何度だかは判らないけれど、風邪はひき始めが肝心だから。

トムに言われた通りにおでこと左右の首、それから脇の下に冷たいジェルシートをそれぞれぺったり貼り付ける。
差し入れのスポーツドリンクと生ぬるい水道水を汲んだコップを準備し、それから葛根湯を布団を剥ぎ取り終わった一人用コタツの台にきちんと置く。
苦しむ様子も無いし、寝汗も別にかいてない。
これなら、本当に一晩ぐっすり眠れば大丈夫かもしれない。

(……明日、会社へ行く前、顔出しゃいいか……)

そう言えば、久々に帝人に触れられたのだ。
正直離れがたかった。
このまま一緒の布団に潜り込んで眠りたくなったが、うっかりトムと先に約束を交わしてしまったし、静雄の心情から言って、色欲を取って先輩との約束を破る奴など男ではない。

暫く彼女の短くなった黒髪を撫でてから、のそのそと洗面器の残り水でちょっと手を濡らし、ペンダントを掴み、帝人の手鏡も少し水をかけた。
どうやら呪具の原理は昔と全く同じようで、直ぐにペンダントの石が目も開けていられない程目映く光を放ち、例の気持ち悪い重力がドカンと身に振りかかると同時に、静雄の精神は露西亜寿司へと飛んだ。


★☆★☆★

「……よ、お帰り静雄……」
「静雄、顔色景気悪いよ。大丈夫ネ?」


目を開ければ、トムとサイモンのがっしりした顔がドアップで、びっくりした。
自分自身、いつの間にか四畳半の社員休憩室に運び込まれ、座布団を二つ折りしたものを枕に転がされていたらしくて。

「こっちでもそのペンダント、また勢い良く閃光を放ったぜ。静雄、それどういう仕組みだ?」
「すんません、話ちょっと待ってもらえますか。一から話すと長くなるんで」


トムとサイモンに不思議を見られた以上、全て包み隠さず話す気ではいたが、でも、今はそれより先にやる事がある。
ズボンのポケットをまさぐり、二つ折りの携帯を引っ張り出すと、短縮番号のボタンを鳴らす。

「おい、何処に電話をかけるべ?」
「ちょっと、ハリウッドにいる幽に」
「おいおい、時差考えてやれ。今多分明け方の三時だぞ」
「非常事態なんです!! 幽、頼む出てくれ!!」

弟の迷惑一切顧みないラブコールは、静雄の執念が勝ったらしい。
三十回ものしつこいコール音を鳴らした後、切られる事なくちゃんと電話は繋がった。

≪……どうしたの兄さん、何かあった?……≫
「あー幽か。そのよ……頼みがあんだけど……、お前が沢山投資している不動産物件のうち、来良に近くて空いているワンルームマンションって無かったか?」
≪あるけど≫
「何処でもいいから使わせてくれ。ちょっと困ってる女の子がいてよ……」

あんな危ない場所に、少女を置いておくなんて、言語道断。
かといって、今直ぐ静雄の家に引っ張り込むのは、もっと無理である。

≪その子って、例の兄さんの幸せ?≫
「う……、ああ、そうだ……」
≪ふうん、ならいいよ≫
寝ている所を起こされた筈の癖に、頭の回転が速い彼は、直ぐにピンときたらしい。


≪兄さんの住んでいる実家近くに、良さそうな物件がある。住所等は後で管理人に直接メール連絡を入れて貰うから、詳細はそっちで聞いて≫
「おう、ありがとよ♪」
≪俺が日本に帰ったら、恋人さん紹介してね≫
「馬鹿、まだ早い」
≪じゃ、俺寝るよ。お休み≫
「ああ、悪かったな。お休み幽」

作品名:座敷童子の静雄君 2 作家名:みかる