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この想いを

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そういえば、自分のグリモアはどうなったのだろう。
佐隈は持っていない。
天使が回収したわけでもなさそうだ。
きっとビルの破片の下にある。
どんな状態なのか。
破損しているのに違いない。
それは佐隈のせいではない。だから、グリモアの制裁は佐隈にはかからないはずだ。
だとしたら。
もしかして。
そう考えている途中で、めまいがした。
一瞬、意識が闇に吸いこまれた。
けれども、どうにか、意識を引きもどす。
そして、思う。
もし気を失ってしまったら。
自分は目覚めることができるのだろうか?
「ベルゼブブさん」
名を呼ばれた。
霞がかっている向こうにある顔を見る。
心配そうな表情。
その顔に触れたくなる。
自分の中にある想いを、口から出したくなる。
しかし、ベルゼブブは動き始めていた手を止めた。
今この想いを告げて、どうなる。
彼女に遺したら、彼女の負担になってしまう。
だから、触れない。だから、言わない。
そう決めた。
直後、また、めまいがした。
「ベルゼブブさん……!」
もう持ちこたえられなくて、身体が傾ぐ。
ベルゼブブは崩れ落ちるように道へと倒れた。
「ベルゼブブさん!」
呼ばれて、そちらのほうに眼をやる。
眼のまえの霞は濃くなっていて、もう、佐隈の顔は見えない。
けれども、佐隈が心配していることはわかる。
「さくまさん」
意識が闇へと引きこまれようとしている。
闇に落ちれば、今度は、さっきのように引きもどすことはできないだろう。
「ベルゼブブのグリモアが」
頭がもうろうとしている中、ベルゼブブは口を動かす。
「次のベルゼブブのグリモアが、あなたの手に渡りますように」

そうなれば、またベルゼブブがあなたを守れる。

ベルゼブブの意識は闇に吸いこまれた。













作品名:この想いを 作家名:hujio