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この想いを

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うたた寝をしていたのが、ふっと、意識がさめた。
ベルゼブブは軽くあたりを見渡す。
魔界のベルゼブブ家の城の自分の部屋で、長椅子に深く腰かけている。
ひとりではない。
隣に、佐隈がいる。
佐隈はまだ、うたた寝の最中であるらしい。
ここに佐隈がいるのは、ベルゼブブが佐隈を守ったことに対するご褒美のようなものだ。
傷の療養中のベルゼブブの見舞いを、芥辺が佐隈に許可を出したからこそである。
ベルゼブブの傷はまだ治りきってはいない。羽根はふたたび生えてきたものの、元の大きさになるにはもう少し時間がかかるようだ。
あのあと、芥辺がベルゼブブのグリモアを見つけたが、ボロボロといっていい状態だった。
よく死ななかったな。
そう芥辺はベルゼブブに言った。
それに対し、ベルゼブブは黙っていた。
実際、死にかけた。
だが、引きもどされたのだ。
佐隈の声、に。
その当人は眠っている。
無防備な寝顔をベルゼブブに向けている。
ここは魔界で、初めて来たくせに、ここまで安心しきっていていいのか。
そう、あきれて、しかし同時に嬉しいような気もする。
すぐそばに佐隈がいる。
その人間のものの手に、ベルゼブブは悪魔のものである手を重ねた。








作品名:この想いを 作家名:hujio