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龍吉@プロフご一読下さい
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novelistID. 27579
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青の歌

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「……ん」
「だから、あんなに優しくしてくれたんですよね」
「……俺は、そこまで出来た人間じゃないよ」
「いいんです。俺は、兄貴の代わりでも。それで」
それで、あなたに届くなら。
「お前は、知らんだろうが」
李俊が穆春の頭に手を置く。
「お前は、一番上の兄貴に似てるんだよ」
「え?」
「穆弘の兄貴に。俺と穆弘は、あの人に憧れていた。でも、あんな最後だったから。お前を見ていると、守りたくなるんだ」
頭を撫でていた李俊の手が、穆春の頭をぐっと引き寄せた。穆春は、李俊の胸に顔を埋めた形になる。
「可能な限り、幸せにしたい。可能な限り、未来に連れて行きたい。そう思ってしまうんだ」
それは、恋や愛なんて言葉じゃ無い。
罪悪と、贖罪。
「本当に、ごめん」
押し殺したような声には、どこか虚ろな響きがあった。その響きは、兄の面影に必ず見えるあの翳りと同じ匂いがした。

ああ、そうか。
兄と彼は、同じ隙間を持っている。それを埋めるには、自分ではとてもじゃないが力不足で。
だから、彼らに届かないんだ。

切なさで、胸の奥が軋む。胸の奥から、熱い想いが溶け出していくのがわかった。
頬を熱い涙の粒がぽろぽろと零れていく。
「李、俊っ……さん……」
「なんだ」
「俺、は、あなたが、すきです」
「……知ってたよ」
「俺を、すきになって、くれませんか」
「……今は、難しい」
李俊が親指の腹で、穆春の涙を拭う。瞼を優しく、羽で撫でるように。
「だけどいつか、あいつがあの隙間を乗り越えられたら。俺は君とまた向き合うよ」
目を閉じて、耳に受け入れる彼の囁きはどこまでも優しい。
「その時は、ゆっくりでも、君のことを好きになって行こう」
穆春の唇に触れるものがあった。どこまでも、優しい口付け。

心の奥底に、小さな穴が空いた気がした。でも、その穴は決して埋まらないものだと思った。
兄の表情に垣間見えるあの翳りが、少しだけ理解できた。

「いつか、あなたに届いてみせますから」
まだ子供な自分では、割って入ることもできないから。
「だから、俺がもっと強く、大きくなるまで」
「ああ、死なないで待ってるよ」

ゆっくり、大人になっていけばいい。いつかは彼らに追いつけるだろうから。
今はこの隙間を埋めるよりも、あなたにどうか、届くように。溶け出すようなこの想いを、あなたに伝えられる様に。
自分の全てを、悲しみの色に染めて。

だから、追いついたその時には、どうかこの僕を愛して。



I still love you, you love me now?