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さよならは言わない【臨帝】

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折原臨也と付き合っている。
その事実に帝人は不思議な気持ちになる。

(いや……嬉しいんだけど……うん?)

帝人の中でしっくりこない気持ちの理由が臨也の考えが分からないせいだろう。
両思いになったことが不思議で仕方がない。

(僕が好きなだけで……別に、それで良かった)

若気の至りで臨也に告白した。
困らせたのだろう。返事はすぐにもらえなかった。
帝人は当然だと思った。期待などしていない。
相手は臨也だ。
(冷静になると僕の気持ちもよく分からない)
どうして臨也を好きになったのか忘れてしまった。
大切なことだったはずなのに覚えていない。

(きっかけなんて、たいしたことじゃないってことかな?)

気付いたら育っていた恋心に理由を付けたいのだろう。
一目惚れではない。
男に対してそんな感情は懐かない。
積み上げた日常を覚えていないのはどうでもいいことばかりだったからだ。

(日常ってそういうものだよね)

流していくのだ。
当たり前のことはいつの間にか忘れる。

(先週なにを食べたとか……臨也さんは覚えてそう)

帝人は溜息を吐く。
食べた物などどうでもよかったので記憶には残らない。