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ぐらにる 流れ 茨の城

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私の姫は遠い場所からやってくる。それは距離の問題ではない。近しい場所に居る時もあるだろうが、普段の姫と私は立場が遠い。だから、やってくる姫に感謝はしている。


 私の姫は家庭的な人なので、きちんと食事の準備をする。だから、朝などは私より早起きしている時もある。前回の最後の朝も、そんな感じでベッドから姫は先に降りた。その時に、さわりと髪を撫でられた。まだ、私は夢現つだったが、その声は聞こえていた。
「たまには、ベッドまで朝食が運ばれてくるような朝が欲しいよ。・・・でも、あんたに、そんなこと言っても無理だしな。そういう日があったら、ちゃんと感謝してサービスするんだけどな。」
 さわりさわりと髪を撫でて、姫はベッドから降りた。そして衣擦れの音がして扉が開く。

 私が時間を遅らせて寝室を出たら、いつものように姫は朝食を準備して微笑んでいたのだが。


 最近、「ニール」という件名のメールが必ず、姫の到着時間と出発時間を知らせてくれる。それを確認して、私も考えた。そういうことなら、私も努力しようと思ったのだ。姫がまどろむ時間を楽しんで、優雅な時間を過ごさせようと。いつも、姫は私の部屋の掃除をしたり食事を作ったり、私が過ごしやすいように世話してくれる。それなら、私も同じように過ごさせてやりたい。
 連絡があってから、部屋の掃除をした。そして花や観葉植物を飾り、それから食事の下ごしらえだ。とはいっても、私にできるものは焼くか煮るぐらいが関の山だから、レトルトとデリバリーの組み合わせぐらいになる。それらを手配して、空港へ向かった。


 どういうわけなのか、この時期に休暇を簡単に取れるようになった。例によって例のごとく、刹那も一緒に、ではあるのだが、行き先は違う。いつものように俺の携帯端末は没収されて、市販のものを渡された。わざわざ、あちらに連絡をするな、と、言ったのに、もう終わっているから楽しんで来い、と、送り出された。いろいろと不味いんだが・・・と、俺は苦笑したものの、感謝はしている。予定を伝えてくれれば、あちらと顔を合わせられる時間は増えるのは事実だからだ。


 アライバルゲートを抜けたところに、金髪の男が立っている。気恥ずかしくて、少し早足に近付いた。
「ようこそ、我が姫。我が茨の城へ。」
 優雅に手を取り、その甲へキスをする。それから、グラハムはニールの顔をまじまじと眺めて微笑む。
「仕事は? 」
「もちろん休みだ。・・・・それから、私の誕生日の祝いなのだが、ひとつ頼みたいことがある。」
「ケーキ焼くとか? 」
「いいや、何もしないで欲しい。いつも、姫は私の世話をしてくれるから、たまには私が姫の世話をしたいのだ。だから、何もしないで茨の城で私のことだけを見て考えていて欲しい。いかがだろう? 」
「何もって・・・」
「髪を洗うのも食事させるのも歩くことすら放棄していただきたい。きみに忠誠を尽くすナイトのように、きみを護りたいのだ。」
 何かしら、またおかしなスイッチが入ったのだろう。たまに、グラハムは、こんなことを言うので、ニールも慣れている。まあ、そういうシチュエーションを楽しみたいと言うなら、付き合うのは困らない。適当に手伝いでもしてくれるんだろうぐらいに、ニールは考えて、「いいよ。」 と、ふたつ返事を返した。


 部屋に辿り着いて絶句した。花だの観葉植物だのが、居間や寝室に所狭しと配置されていた。
「・・グッグラハム? 」
「茨の城とて、これぐらいの演出は可能なのだ。さあ、姫。」
「ちょっと待て。これ、おまえ・・・」
「花や植物には心を癒す力があるということだ。」
「いや、それはわかるけど、これ維持すんの大変だぞ? 」
 切り花は枯れてしまうだけだからいいとしよう。観葉植物は、日光に当ててやったり水をやったりしなければ、すぐに枯れてしまう。そんなことを、この忙しい男ができるはずもない。そう言いたかったのだが、相手も、それは理解していたのか、「きみが帰ったら、基地に寄付をするから大丈夫だ。」 と、肩を押して部屋に入る。ようやく再会の抱擁をする。一年に数度しか逢えない相手だから、どちらも、その感触を楽しむ。
「・・・・シャワー使わせてくれ。」
「そうだな。」
 どちらも相手を脱がせて浴室に向かう。いつもなら勝手に浴びるシャワーすら、グラハムは世話をするのだと言い張り、シャワールームへふたりして入る。スポンジを手にしようとしたニールの手をグラハムが捕まえる。
「洗うのは私だ。何もしてはいけない。」
「・・え・・・・」
「まず身体を洗う。それから、いつも、姫がこっそりと洗う場所も、私が洗う。」
「・・いや・・それは・・・」
「姫は何もしなくていい。私へのプレゼントだ。」
 そう言われるとニールも大人しくスポンジを渡す。全身を泡立てたスポンジで洗い、最後の場所に辿り着いた。壁に向かってニールを立たせると、その白いお尻にキスをする。それから両側に開いて、シャワーを浴びせる。
「・・あ・・あのさ・・」
「辛いか? 姫。」
「・・いっいや・・あの・・ひやっっ。」
 ツプリと予告もなく秘所に指を突き立てられてしまうと、ニールの腰が微かに揺れる。入念にシャワーを浴びせつつ、指を出し入れする。洗っているのか開いているのか微妙な行為だから、ニールの息も上がっていく。指を三本に増やして、そこに湯を入れたら、艶やかな声が聞こえた。
「・・も・・も・いい・・・グラハム・・・」
「まだ洗っている最中だ。」
「・・や・・やだ・・・欲しい・・それじゃなくて・・・・グラハムの・・」
 早く、と、急き立てられた。水に濡れた亜麻色の髪と懇願するような孔雀色の瞳が理性も蔑ろにしてしまう。すまない、と、断りを入れて、グラハムは指を抜くと己を捻じ込む。ゆっくりと思っていても気持ちは急いて、根元まで一気に押し入れた。姫の啼く声がシャワールームにこだましているが、それならも心地良いものだ。
「・・・あまり・・保たない・・・」
「・・うっうん・・俺も・・もう・・」
 身体を馴染ませて、抽挿を激しくする。どちらも何ヶ月かぶりの恋人の身体だ。仕事の忙しい身で、恋人以外とする暇もないから、盛り上がってしまえば、どちらも最後まで早かった。途切れ途切れの姫の啼き声が、一際大きくなって、私を締め付ける。それで私も姫の裡に埒をあけた。
 シャワールームからバスタブに移り、そこでキスの雨を受けた。そこからベッドまで、そのまま辿り着き時間も忘れて抱き合った。私の姫は、私と眠ると悪夢に苛まれないと言う。確かに、こんな状態では苛まれる暇はないだろう。
「そうじゃない。この部屋で寝ると夢を見ないんだ。」
 合間の休憩に、そんな話を振ったら、姫は微笑んだ。私が留守をしている時もあるから、そういう場合、姫は、ここで数日を一人で過ごして帰る。その場合も、ぐっすりと眠れるのだと言う。
「あんたの残り香があるからなんだろう。他のホテルや宿泊施設だと、たまに眠れないから。」
「残念ながら、それは持ち帰れるものではないな。」
「くくくく・・・あんたは強烈だからな。でも、帰ってから、しばらくも眠れるようになった。多少は持ち帰れているってことだ。」
作品名:ぐらにる 流れ 茨の城 作家名:篠義