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【腐】貴方と君と、ときどきうさぎ その8【臨帝】

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「熱い、体、すごく熱いです…」
荒い息、赤く染まっている頬、熱い視線、潤んだ瞳。
「誘ってる?」
「はい、今すぐどうにか…なりたいぐらいです」
ドクリ、と心臓が脈打った。
「これは驚いた」
余裕なふりをしているが内心ちっとも余裕なんてない。
「ああでも、でも…その、待って、待って下さいね。
やっぱり今のなしですなし!…ごめんなさい、触らないで下さい…
その前に多分僕の心臓、持ちません…」
余裕なんてあるわけがない。可愛い以外何物でもない。何この生き物。
今だって俺の目の前で小さく唸って俯いて両手で顔を隠して黙ってしまうんだぞ。
「…とりあえずさ、なんでそうなったのかわかるの?」
「…あ、あの…はい、…さっき母と電話をして、いたんですが」
「うん」
ぴくぴくとうさ耳が動いている。やばい、これは我慢する
方が無理な話だ。いや、耐えろ。今は耐えろ。
「い、意中の人ができると…その…その人を喜ばせよう…と、
意識が…働いて、そうなったんじゃ…ないかって…」
「何そのギャルゲー設定」
「し、知りませんよ!!僕だって突然耳生えてきて…!!
で、でも、昔、他の人もこうなった例もあるって…それに僕の…
体調の、変化だって…」
「それってここ最近の体調不良と関係あるって事?」
帝人君はこくりと小さく頷いた。
「あ…あの…、はい。その…、ごめんなさい。
それは本当に僕が悪いんです。ある薬をずっと飲み続けていた
副作用的なもので、それで体調を崩していたんです。
その…生理現象を無理やり抑えつけていたわけですから…」
最後の方はとても小さな声で聞きとりずらかった。
「成程、ようやく話してくれる気になったか。君が性欲を抑える薬を飲んでいた理由」
「!!!」
帝人君は大きく目を見開き心底驚いたようで長い両耳がピーンと立った。
「時々飲んでいただろう?明らかに市販の薬じゃないもんねあれ」
堂々とその薬を風邪薬だと偽り俺の前で飲んで見せたのは
告白をしたあの日だけだったけれど。勘のいい帝人君。
俺に何か勘ぐられる前にその行為はあの日を境に俺の前では
行われなかったけれど知らないわけがない。ちょっとその薬を
拝借して調べるのは簡単な事なんだよ。
「な…な…な…」
「俺はてっきり実験のせいプラス過度のストレスか疲労が原因
だと思ってたら君を診た新羅の様子からだとどうもそうじゃない
らしいし、だとすると薬を飲んでいたせいかなって」
「………」
ああまた顔を真っ赤にさせてしまった。
これはこれで本気でそろそろ理性が危険だ。
「あのさ帝人君俺をチラチラ見ながらもじもじするなよ
女の子みたいにさ。それ俺にとっては効果抜群なんだからさ」
「~~~~っ!!」
帝人君はなんとも言えないような顔で俺を見た。とても落ち着きがない様子だ。
それが逆効果だって言ってんのに。
「だ、だから!もう察して下さい!!」
「なにがー?ちゃんと説明してくれないとわからないよ」
「う、うさぎは、うさぎは…はつ、発情期なんです!いつも!」
半ば逆切れ状態だ。俺と愛し合ってるくせに発情期という言葉を
口にするのも恥かしいのかこの子は。
「にしても抑えていた割にはそうは感じなかったけどな」
「あ…あの…それは……ごめんなさい…でも、その…そうしないと、その…」
「まあつまり帝人君はドスケベで、いん─」
「うわあああああ止めてそれ以上言わないで!!」
俺の声は大慌てで大声を出した帝人君の手によって口を塞がれた。
動いた拍子に帝人君がベッドの上でバランスを崩し見事に俺を
押し倒すような形で二人でベッドに沈んだ。
「くくくっ…」
これ以上追求したら可哀相かな。
「うう…臨也さんの馬鹿!!変態!!人の気持ちも知らないで!!」
人の上で罵ってくる割にはどいてくれるつもりはないらしい。
「これは俺へのご褒美って思っていいのかな?ねえうさぎさん?」
帝人君は数回瞬きをして、また目を逸らしたなと思えば真直ぐに
俺を見た。きゅ、と俺のシャツを握ってくる。
「ご褒美って思っちゃって下さい」
小さく囁かれたそれに応えるように帝人君を強く強く抱しめた。
温もりとふわりと香る石鹸の匂いが心地いい。
「ねえこのまま口にキスしたらどうなるのかな?」
「さあ…でもうさぎになっちゃうんじゃないですか?」
「今もうさぎじゃん」
さわさわと尻と尻尾を撫でたらかなり叩かれた。
「試してみようか」
「─…貴方の、好きにして下さい」

照れくさそうに、でも嬉しそうに君は笑うから。
俺まで嬉しくなってくる。けれど今は口付けはおあずけ。
まずは頬に唇を落とそうか。それからはお楽しみの時間だ。


まだまだ物語は始まったばかりなのだから。