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ことの発端は、日本とイギリスが共同開発したという小さなセンサーをテスト用に預かったあたりだった。
　自分は割合暇だったし、「ちょっとしたサプライズくらいにはなりますよ」というセリフに、ちょっと後ろめたかったここしばらくのうっぷんを晴らす機会を与えられた気がしたのもある。
　誕生日を祝うなんて習慣は、自分たち国にとっては割合新しいものだ。若い国が人間をまねて始めたものが、いつの間にかお祭り好きな古株に広まり、自分にとって記念と言える日を勝手に誕生日と名付けてプレゼントをせっせと徴収するのが主目的の日になっている。
　言ってみれば、年に一度自分のためのわがままを許された日。

　俺はその日を、五百年以上も片想いしている相手と過ごしたことがない。