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こらぼでほすと 拉致2

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その頃、ラボでは、歌姫様と大明神様が三時のお茶を楽しんでいた。ようやく、大明神様のほうもシステムの組み立てが終ったからのことだ。
「後は、大晦日から三日までで、システムの配置をする。だから、初詣は四日でもいい? ラクス。」
「ええ、それで結構です。それまでは、ママとお正月を楽しんでお待ちしておりますわ。」
「そうだね。ママを拉致しといてくれるといいかも。トダカさんとこだと、シンたちの不在がバレちゃうもの。」
 すっかりきっぱりニールは忘れているが、今年の年越しから正月は、歌姫様が本宅で確保すると予約していた。もちろん、歌姫様は忘れてなんかいない。キラたちが、その期間、ラボで作業に集中するから、ちょうど都合がよかったので、トダカには、その予定で話を通してある。桃色子猫が降下してくれれば、三人でのんびりと正月行事を楽しめるし、もし、降下できないなら、歌姫様が親猫と二人でのんびりするつもりだ。
「フェルトは、まだ連絡がありませんか? キラ。」
「うん、降りてくるとは思うんだけど、いつになるのかなあ。予定では、クリスマスから年明けって言ってたけど、無理みたいだね。」
 予定では、そういうことだったのだが、クリスマスウィーク間際になっても連絡がないところをみると、予定はずれ込んでいるらしい。宇宙空間に適用できるようにナノマシンを体内に入れているとは言っても、フェルトはナチュラルな人間だ。地球の重力を長く離れると、いろいろと支障が出てくる身体だから、降下はするはずだ、と、こちらのものは予想している。
「年末になるのなら、こちらでチェックいたしますわ。キラは作業に集中してくださいませ。」
「うん、そうしてくれる? 三十日に準備に入るから、それからはチェックまでできないから。」
 いつもは、大明神様が組織からの動きはチェックしているのだが、さすがに大掛かりな作業をやると、そんな細かいことまで手が回らない。ということで、そこいらは、歌姫様のスタッフのほうに任せる。
「来年は音楽活動と社会福祉活動だけに限定するつもりです。ですから、私くしも、時間の余裕がございますから、キラの仕事で手伝えるものは廻してください。」
「ありがとう、ラクス。来年と再来年は忙しくなりそうだね。」
「そうですね。ですが、これが終れば、少し落ち着くのではないでしょうか。今度は、こちらも手を加えますので、早々に崩壊しない連邦を作れると思いますの。」
「・・・・そうなって欲しいな。そこは任せてもいい? 」
「はい、お任せください。」
 前回は、こちらから何もアプローチしなかったので、三大大国が連合に纏まったものの、おかしなものになってしまった。ヴェーダの生体端末たちが、牛耳ってしまったからだ。もちろん、それで世界は一部平和にはなったが、キラたちの納得の出来るものではなかった。だから、今度は連合が瓦解した瞬間から、こちらも裏からアプローチして、三大大国の思惑だけで創生される連邦ではない連邦に導くつもりだ。そのための準備は歌姫様のスタッフたちがやっている。だから、歌姫様の活動も徐々に減らして、今の連合との接触は断ち切る予定だ。 来年からは、国際会議への出席や三大大国の主催する政治色の濃いイベントへの出演は減らしていくので、時間的には余裕が出来る。その時間で、歌姫様とそのブレーンやスタッフたちは、次の連邦へのアプローチを模索する予定だ。
「どうして世界はひとつにならないんだろうね。」
「人間ですから。」
 チューとジュースを飲み干して、大明神様はぼやく。何度も同じことを繰り返す世界に呆れるしかない。世界は、様々な人間の野心や思惑によって動いている。その中に、『吉祥富貴』も含まれている。世界をひとつに纏めたいと考える人間にとって、『吉祥富貴』も敵になる。平和な世界であって欲しい、と、考えている『吉祥富貴』だとて、自分たちを犠牲にするような平和は望まない。世界をひとつに支配したい人間にとって、『吉祥富貴』の考えは目の上のたんこぶだし、自分たちの牛耳る世界には必要ではない。だから、衝突することになる。『吉祥富貴』が戦争不参加を唱えているから、直接攻撃はされないが、もし、組織に関与していることが暴露されたら、先に攻撃されるだろう。それほど目障りな集団だからだ。三大大国ほどの力はないとはいえ、『吉祥富貴』の背景には、技術大国であるオーヴとプラントが連なっているし、代表は、宇宙で一番有名な歌姫様と、「白い悪魔」として恐れられていた大明神様だ。さらに、これにコーディネーターを容認する国も続く。三大大国が一纏めになれば叩ける規模ではあるが、さすがに情報管制で隠せる規模ではない。そうなると世界規模で世界は混乱する。それは肝に銘じて、大明神様も活動している。





 『吉祥富貴』もクリスマスウィークに突入すると、途端に忙しくなる。特に稼働率がアップするのが、八戒で、そうなると経理のほうまで手が回らない。そこいらは、『吉祥富貴』のチーママこと、ニールの担当になる。店のほうには出ないが、一応、衣装も用意されている。今年のホストたちの衣装は、クリーム色のスーツに、クリスマス関連の意匠がプリントされたものだ。キラは、雪の結晶がプリントされたもので、アスランは緑と赤のリボンの意匠デザイン、シンがポイントセチア、レイがクリスマスローズ、鷹がトナカイ、悟浄はクリスマスリース、ハイネがサンタ柄なんてことになっている。ちなみに、八戒はチャイナ服だが、針葉樹の柄がプリントされたものだ。ニールのものは、アイルランド独特のクロスが意匠デザインされたものだが、ほとんど着ることはない。表の手伝いも、トダカの側でバーテンをするぐらいだからだ。


 事務室で、カタカタと請求書や領収書を片手に入力しているニールは、バーテンダーの衣装で、応援で呼ばれる場合は、裏方スタッフで動いている。
「ママ、おやつは? 」
「そこに、サンドウィッチがある。あと、スープは、そこの鍋。生春巻きも残ってるぞ。」
 お客様第一弾がお帰りになったので、キラが戻って来た。そこで、はぐはぐと軽食を摘み始める。この時期は深夜近くまでホストたちは、フル活動になるから、適当に合間に軽食を摘む。それを作るのもニールの仕事だ。適当に腹に溜まりそうなものを作って事務室に置いているので、時間の空いたものが戻って口にする。ニールが、そこで相手をしてくれるから一時、気の抜ける日常が出張しているようなものだ。もぐもぐとサンドイッチをひとつ食べ終えて、キラは唐突に口を開く。天然電波なので整合性とか理論性とか求めてはいけない。
「クリスマスプレゼントは何がいい? 」
「はあ? 」
「僕、サンタさんになるよ? 」
「そういうのは、金額決めて交換とかでいいんじゃないのか? そうしないと、全員に配達すんのは大変だろ? キラサンタ。」
「もちろん、みんなとは、そうするんだけど、ママだけ特別枠。」
「いらねぇーよ。俺は、これといって欲しいものはない。」
作品名:こらぼでほすと 拉致2 作家名:篠義