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こらぼでほすと 拉致3

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 亭主を見送ると、本堂の応援に出向く。そちらでは、仏像やその辺りの飾りを拭く作業が展開していた。バケツの水を取り替えようと、庭へ降りると、そちらでは境内の草むしりが行なわれている。暇に任せてちまちまとニールも境内の草むしりはしているが、完全ではない。そこいらを、トダカーズラブの面々が作業している。
「ニール、三蔵さんは檀家参りか? 」
 バケツに水を汲んでいると、アマギが近寄ってきた。黒袈裟の坊主がスクーターで出かけたのを目にしたらしい。
「はい、今日まで予約が入ってるんです。」
 まず二軒、昼までに周り、一端引き上げてきて、夕方まで数軒を廻ることになっている。檀家全部が依頼してくるわけではないから、数は大したものではないが、これも貴重な寺の財源なので断ることはない。
「じゃあ、晩飯も、こっちで食ってからのほうがいいな。」
「そうしてください。お礼を受け取ってもらえないなら、せめて食事ぐらいは、うちで世話させてもらわないと。」
 トダカーズラブの面々は公務員という立場上、バイトはできない。だから、寺の大掃除の手伝いも、全てボランティアだ。トダカは気にしなくていいとは言うものの、さすがに何もないのも申し訳ないから、飲み食いは寺持ちということにさせてもらっている。夏なら、板氷を投げ入れたタライにビールや清涼飲料水を冷やして準備するが、寒い季節なので、今回は冷やしたお茶と、温かいお茶、ポットにいれたコーヒー、紅茶とお茶菓子あたりが本堂の前の張り出しに設置されている。
「ニール、乾いた布はありませんか? 」
 本堂から八戒の声が飛ぶ。仏像やら、その付属品は乾拭きが基本だ。汚れてしまって洗うと、その作業に使えないから不足したらしい。
「あります。」
 じゃあ、と、アマギに声をかけて、バケツと共に引き返す。使い古しのタオルやTシャツの布は準備してあった。脇部屋に置いてあるので、それを出してくる。大きな寺ではないが、仏像や、その付属品は結構、豪華なものだし細工も細かいから埃をはらうだけでも、かなりの手間だ。
「さすが、ニール。準備万全ですね。」
「去年、途中で足りなくなってたでしょ? だから多めに用意しておきました。」
 ダンボール一箱に詰められたタオルや、衣服を裁断した布に、八戒は申し分ない、と、運び出す。箱の上に載っていた切れ端を悟空が取上げて、しげしげと観察する。
「これ、俺のTシャツ。」
「それ、破れたからな。」
「とりあえず飾りまで拭いたら一休みしましょうか。」
「用意はしてあります。八戒さん、夜はどうします? 」
「大人数だから鍋でいいんじゃないですか。午後から買い出してきますよ。あと、メシものとツマミは出来あいで。」
 こういう忙しい時は手を抜くという方向で、八戒と打ち合わせをする。これだけの人数になると、一から作っていては作業が進まない。そこへ、悟空がニールの腕を引っ張った。
「ママは昼寝な。」
「え、悟空? 」
「昨日も昼寝しないで墓地の掃除してたし、今日も朝からカレー作ってただろ? 里帰りしてダウンなんて、トダカさんが可哀想だ。」
「いや、調子はいいから大丈夫。それに、みんな、働いてるのに俺だけ寝てたらおかしいだろ。」
「おかしかない。ママニャンは午睡が基本だろ? 」
「そうだよ、娘さん。ちょっと休みなさい。うちでごろごろしているのはいいけどね、今年はフェルトちゃんの出迎えもあるんだから、あまり疲れるのはよくない。」
 悟浄とトダカも近寄ってきて、そう命じる。昨年のように、ぐだぐだとトダカ家で寝ていらない。年明けギリギリの最終便で戻って来る桃色子猫の出迎えもあるからだ。さらに拉致もされるので、周囲は、そこまで体力温存させるつもりだ。


作品名:こらぼでほすと 拉致3 作家名:篠義