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こらぼでほすと 拉致3

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 作業の合間の食事は、別荘のほうで手配している。ちょっと変ったものも用意して欲しい、と、希望は出してあるから、用意してもらえるだろう。
「シン、レイ、僕、二十九日はママのところへ行くからね。それから、僕とアスランは年末年始はオーヴのヤマト家へ里帰りってことにするから。」
「了解っす、キラさん。俺も二十九日に顔出して、自分のマンションの掃除ってことで三十日は消えます。」
「俺は、プラントに里帰りの予定です。」
「あ、俺とマリューは旅行ってことでな。」
「うちも旅行だ。アイシャが、すでにそう言ったそうだ。」
「いいよなあーあんたらは。アリバイ工作があってさ。俺なんか、まんまラボの留守番だぜ? 」
 各人、ニールへのアリバイ工作もしておく。いつもなら二日から年少組は集まるから、それに不審を抱かせないためだ。ハイネだけは、まんまなので、何も工作することはない。
「いいじゃないか、ハイネ。私なんか、ニールを一日しか確保できないんだよ? それも、拉致まで内緒にしておくから、拗ねられそうで悲しいし。」
 トダカは、今年も年越しする気満々だったのだが、歌姫様から先に予約しておりました、と、捻じ込まれたので、一日しか里帰りしてもらえないし、拉致の瞬間まで、それは知らせないなんてことになっているから、とっても残念だと溜め息をつく。
「正月明けの連休にでも拉致してください、おとーさん。」
「トダカさんも四日に別荘に来れば? みんなで遊ぶから楽しいよ? 」
「そうですね、キラ様。フェルトちゃんの顔も見たいし、お邪魔させていただきましょう。」
 キラが誘えば、トダカも二つ返事で頷く。フェルトは、『吉祥富貴』のものにとって、ニールと違った意味の癒しだ。親子猫でいちゃこらしているのは、和む光景だから是非、鑑賞したい。
「そういうことなら、沙・猪家夫夫も一応誘っておこうか? 悟浄。」
「いらねぇーよ、鷹さん。うちは夫夫でまったりと年越しだ。邪魔すんな。」
「悟浄、僕らは、寺の栄養補給があるんで、そうまったりとしてられないと思いますけどね? 鷹さん、僕らは不参加です。悟空だけ参加させてください。」
 ニールが里帰りするとなれば、寺の栄養補給は八戒の仕事だ。大晦日までは、寺で用件を片付けることになるし、恒例の年明け麻雀大会もやるとなれば、夫夫でまったりと過ごすのは元旦ぐらいなものになるだろう。
「はあーもう、俺も旅行にでも行きたいぜ。」
「年末年始なんて、どこも混んでて楽しくありませんよ。」
「いやさ、そこじゃなくてな。まったり時間制限なしのアレをだな。」
 ニヤニヤと亭主がよからぬことを言い出したので、女房のほうは、そこいらの銀のトレイで亭主の頭に一発食らわせて黙らせる。
「わかった、わかった。好きに休みを楽しんでくれ。・・・おまえら、よく毎日飽きないな?」
 俺は、そんなに密着してたら窒息するぞ、と、鷹は大笑いしているし、周囲も微笑んでいる。
「二人っきりっていうのは少ないぜ。」
「まあ、そうですね。」
 いや、職場に出勤していても、いちゃらこちゃらと密着しているくせに、自覚は無いらしい。
「うちはどうだろうね? アスラン。」
「八戒さんたちよりは多いかな。」
 もう一方の熱愛新婚も、こんなことをおっしゃるわけで、勝手に惚気の垂れ流しをされている感は否めない。鷹は、げんなりと肩を落として、「ごちそうさま。」 と、その場から逃亡した。




 三十日の朝から、寺にはトダカと、その親衛隊の面々が集合していた。墓地のほうは、昨日、シンとレイが手伝って清掃は終っているから、境内と本堂の掃除にやってきた。今年は、年末年始の天候は、晴天続きで寺の女房も、さくさくと用事を片付けている。
「本当に、御節はいいんですか? 三蔵さん。」
「あれは、精進料理っぽくて腹に溜まらねぇーからな。それに、八戒が、明日、おでんを炊くから余計なもんは作らなくていいぞ。」
 年末年始のお里帰りは、昨年から決まっているので、寺の女房のほうは、当人が不在の間のちょっとしたツマミやおかずの作成をしている。本日は、トダカと、その親衛隊が手伝いに来てくれているので、大鍋にカレーを製作した。
「桃色子猫は明日か? 」
「ええ、ギリギリの最終便になるらしいです。」
 ようやく降下の連絡が入ったので、寺の味噌汁の味も安定した。滞在は七日なので少ないが、それでも顔を合わせられるのは嬉しい。女房の機嫌がよければ、亭主も機嫌がよくなる。
「うちには二日くらいしかいない計算だな。どこか出かけるつもりか? 」
「別荘で騒ぐみたいだから、うちではのんびりさせてやったほうがいいかな、って思うんですが、どうですかね。」
「のんびりなあ。あのぐらいの年頃の娘なんてのは、外へ出かけるのが楽しいんじゃないか。」
「とは言っても・・・どこへ行きます? 初詣は行くし、この季節に遊園地はキツイだろうし動物園も寒いだろうしなあ。」
 寒い季節のお出かけなんてものだと、行く場所も限定される。ショッピングモールへでも出向くというなら、年少組と行くほうが楽しいだろうか、なんて親猫は考える。そこで、ふと、亭主の発言にひっかかった。もしかして、一緒に行くつもりのような発言だったからだ。
「もしかして、あんたも一緒に行ってくれるつもりですか? 三蔵さん。」
「どうせ、桃色子猫は俺も誘いやがるだろ? 」
「ええ、まあ。」
「なら付き合うしかないからな。」
 フェルトは三蔵の言動を怖がる素振りもないし、三蔵も、あまりフェルトにはキツイ言い方はしない。夏休暇の時は、一緒にウォータースライダーで遊んでもらっていたほど懐いていたりする。三蔵のほうも、それが満更イヤでもないらしい。
「あんた、フェルトには優しいですね。」
「なんだ? おまえにも優しくしてやってるだろうが。拗ねるんじゃねぇ。」
「拗ねてませんよ。・・・そろそろ檀家参りの時間です。はい、着替えてください。」
 本日まで、年末の檀家参りの予定がある。檀家さんの仏壇で回向して年明けを迎えるというのが、特区の正しい年末風景だ。用意していた黒袈裟とコートを出してきて、女房が着替えを手伝う。トダカたちは、昨年で本堂と境内の掃除の手順は把握しているので、勝手にやっている。沙・猪家夫夫と悟空が、一緒にやっているので、寺の夫夫だけが居間でいちゃこらしているのだ。まあ、それも三蔵の着替えの手伝いなんていうやらなくてもよさそうなことだったりする。
「二時間くらいだ。」
「心配しなくても、俺が待ってます。」
「カレーだけか? 」
「サラダぐらいなら。」
「ゆで卵。」
「はいはい。」
 ひとりで後から食事することになるからの亭主の言葉に、待ってます、と、女房が返事しているわけで、もう、なんていうか、おまえら、ほんとにノンケかよ? と、ハイネが毎度ツッコミするシチュエーションだ。最後にコートを着せ掛けて、いってらっしゃい、と、背中をポンと叩くと準備完了だ。
作品名:こらぼでほすと 拉致3 作家名:篠義