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こらぼでほすと 拉致4

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どうにか、寺の大掃除は無事に終了してニールは、お里であるトダカ家に戻った。その日は、そのまま休んで、翌日は、トダカ家の大掃除だ。とはいっても、週に一度は完璧なハウスクリーニングをされているトダカ家なんてものは、大して手間のかかることはない。それに、トダカーズラブの面々も、六人もいるから、あっという間に終ってしまう。きみは里帰りなんだから、ゆっくりしてなさい、と、トダカーズラブの面々から掃除も免除されて、ニールはトダカと散歩に放り出された。
「とりあえず、年末の街の風景を観察でもするかい? 」
「日用品の買出しとかは? トダカさん。」
「これといってはないさ。御節は宅配で届くし、今夜の食事もアマギたちでやってくれるから、娘さんはまったりしていればいい。そうだ、本屋に行って休みに読む本でも物色しよう。」
 いつもは率先して動いているニールとしては、こういうふうに時間を貰うと、何をしていいやらの状態だ。ぶらぶらと大型ショッピングモールまで歩いていて、ふと思いついた。
「マフラーを見てもいいですか? 」
「きみのかい? 」
「いえ、フェルトのです。確か、なかったんです。それに、特区の冬は初めてだから寒いだろうし。」
 まあ、歌姫様のことだから、いろいろと用意はしてくれているだろうが、空港に迎えに行く今夜は、それも届いていない。コートは刹那のがあるから、マンションから持ってくればいいが、マフラーぐらい可愛い色合いのを用意してやろうと思いついた。
「あとでマンションに行きたいんですが、いいですか? 」
「コートなら、私がプレゼントしてあげるよ。おじい様からのお年玉だ。」
 ニールの考えなどお見通しで、トダカは笑う。そういう用事なら、いい時間潰しになるだろう。成長する桃色子猫にとっては、コートも、一度限りしか使えないのだが、せっかくだから可愛いものを用意してやりたいと思うのは、トダカも桃色子猫が可愛いからのことだ。
「あははは・・・ありがとうございます。」
「きみにも何か探そう。」
「それなら、トダカさんのものですよ? 俺は、なんだかんだと、おとうさんからプレゼントされてますからね。たまには娘からのお返しを受け取ってもらわないと。」
 なんでもない時に、唐突にトダカはプレゼントをくれる。靴だったり服だったり、その時期に見合うものをさりげなく用意してくれるので、ニールは服なんて買ったこともない。他にも歌姫様のほうからも届くので、ほぼ衣食住は勝手に充実している。
「じゃあ、半纏をプレゼントしてもらおうかな。寺で、きみたちが着ているのを見てると温かくてよさそうだ。」
「ああ、あれはいいですよ。」
「目的も決まったことだから散歩から買い物に変更だな。」
「はい、まずはフェルトから攻めますか? 」
「そうしょう。」
 ふたりして、近付いてきたショッピングモールへ速度を上げる。こういう暇つぶしなら楽しいし会話も弾む。ただ、トダカは内心で苦笑はする。世話好きのニールは、自分より子猫たちが優先だ。たまには、自分の好みの服でも買えばいいだろうに、そういうことには気が向かないのだ。それがらしいといえばらしいし、トダカにしてみると、うちの娘さんは可愛いと思うところだ。だから、ついついニールのものは用意してしまうことになっている。




 なんだかんだと買い物してカフェで一休みした。そろそろ戻ろうか、と、立ち上がったら、背後から硬いモノを肝臓辺りに押し付けられた。

・・・・・え?・・・・・

 この人ごみの中で、人と接触することはあるだろうが、そういう雰囲気ではない。ごりっと硬いものを腰辺りに捻じ込んできた。ここで発砲されることはないだろうが、誰だ? と、ニールも顔を引き攣らせる。殺気なら判っただろうに、気配も微塵も感じなかった。まずトダカの安全を確保して、と、そちらに視線を向けたら、あちらは驚いた顔をしている。
「・・・・すっかり気が抜けちまってるね? ママ。」
 背後から聞き覚えのある声がしたので、ニールも気が抜けた。すっと捻じ込まれていた硬いモノが退かれて、振り返るとヒルダだ。手にしていたのは、口紅だ。銃の口径と似た感触だったから、まんまと騙された。
「びっくりした。」
「もうお買い物は終ってますか? トダカさん。」
「ああ、そろそろ帰ろうか、と、思ってたところだ。」
「では、お送りいたしますので。」
 ニールが手にしていた買い物袋を横取りすると、ヒルダはトダカを案内するようにショッピングモールを抜けて行く。続くトダカとニールも小走りに随行した。


 ショッピングモールの裏口付近の道路にクルマが止められている。そこに乗せられて、クルマはスムーズに発進した。
「何事だい? 」
「ママをお借りしたく参上いたしました。」
「俺? ラクスになんかあったんですか? ヒルダさん。」
「あんたの雷が必要なんだ。」
「はい? 」
 過密スケジュールで二週間を過ごしていた歌姫様は今朝から、発熱して辛そうにしている。とはいうものの、スケジュールは待ってくれないから、ドクターに点滴を受けてこなしていた。あとは、カウントダウンパーティーの掛け持ちが何件かあって、その移動前の休憩中なのだが、かなり具合は悪いらしい。だが、当人はスケジュールをクリアーするまでは倒れないから大丈夫だ、と、キャンセルさせずにいる。
「カウントダウンパーティーは、それほど重要じゃないんだ。スピーチされるものはないし、歌を披露される予定も無い。だから、キャンセルしても迷惑がかかるわけじゃないんだけどさ。それでも出席されているお客様と顔は合わせておかなければ、ってラクス様はおっしゃるのさ。」
 天下の歌姫様の参加を楽しみにしている客が大勢居る。キャンセルすれば、年明けに落胆した気分を味あわせることになるから、と、ラクスは強行に出席するつもりらしい。誰もが歌姫様を諫めてキャンセルしてもらおうとするのだが、頑として受けてくれない。そこで、ジェットストリームな護衛陣とイザークとディアッカは考えた。歌姫様を止められる人間というのはいないのか、と。
「キラ坊やに止めてもらうのが一番なんだろうけど、ラクス様がキラ坊やに連絡するな、の一点張りでね。」
「それで、うちの娘に白羽の矢が立ったのかい? ヒルダさん。」
「はい、そうです。ママならラクス様を止められる。ちょいと雷を落としてくれれば、ラクス様も諦めてくださると思ってね。」
「イザークが怒鳴れば止められるでしょ? ヒルダさん。なんなら、ヒルダさんたちだって。」
 ニールにすれば、護衛陣で止められると思っていた。自分なんかより、的確に歌姫様を把握しているのは、護衛陣のほうだ。特に、今はイザークがいる。彼なら、そういう提言もできるはずだ。その言葉に、ニヤッとヒルダは頬を歪めた。もちろん、護衛陣も不興覚悟で諫言した。だが、そんなものは素通りなのだ。
作品名:こらぼでほすと 拉致4 作家名:篠義