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こらぼでほすと 拉致5

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「私からだよ。極東にはお年玉という風習があってね。お正月に、子供にお小遣いをあげるんだ。だから、これは私からフェルトちゃんへのお年玉。」
 はい、と、着せ掛けてトダカも微笑む。襟と同じ灰色のボンボリをぎゅっと結ぶと可愛い姿になる。それを、桃色子猫の周りを一周してトダカも嬉しそうに何度も頷いた。ニールと二人して選んだものが、よく似合うというのは嬉しいらしい。また、そのトダカの表情がたまらなく可愛いわけでトダカーズラブも胸キュンな代物だ。後日、会報に掲載すべく、この模様は隠し撮りまでされている。
「ありがとう、トダカさん。」
「どういたしまして。喜んでくれると、私も嬉しいよ? さあ、ニールのところへ行こう。きみのママも待っているからね。」
 さすがに夜間だし緊急でもないからヘリではなく移動は車だ。アマギが運転して、トダカとフェルトが後部座席に収まった。他のトダカーズラブのメンバーは、そのまんまマンションにとんぼ返りして、新年宴会の準備に移行する。今回は、シンもニールも里帰りしないから、いつもより多目の人数が集まっている。身内の居ない年明けは、我らがお慰めしなくては、と、いろいろと宴会芸も仕込んでいる。




 本宅へ辿り着いて、まずはラクスの容態を確認すると、ヒルダがニヘラっと笑って案内してくれた。ラクスの私室だが、まず個人用の居間があり、その奥が寝室だ。その寝室の扉から大声が漏れている。
「ヒルダさん? 」
「くくくくく・・・・ラクス様は、とてもお元気になられてさ。楽しそうで、あたしも嬉しくてね。フェルトちゃん、出迎えにニールがいなくて悪かったね? あたしが、ニールを拉致して看病させてたんだ。」
 すまないね、と、ヒルダもフェルトに謝る。だが、結果は良好だ。ニールが付き添ってくれたお陰か、たっぷりと睡眠を摂った歌姫様は、かなり回復したからだ。今も大声で応酬するほどの元気さだ。その騒ぐ声が年相応で、ヒルダとしてもニールには感謝してもし足りない気分だ。フェルトは、ううん、と、首を横に振っている。いい子だね、ありがとうよ、と、その頭を撫でて扉をノックする。
 トントン
 それで、室内の騒ぎは収まるのかと思いきや、どうも聞こえていないらしく、ちっとも騒ぎは鎮まらない。もう一度、ノックしてヒルダは強引に扉を開けて、「騒ぎすぎだよっっ、ママ。」 と、一喝した。



作品名:こらぼでほすと 拉致5 作家名:篠義