移り香にご用心
「ど、どうしましょう、またやってしまいました…!」
無残に飛び散った真っ白な欠片に、さぁっと血の気が引いていく。
今日はこれで三度目の失態です。
これがバレたりしたら、小鳥遊さんに拳骨を落とされるやもしれません。
「無かった事にするのが一番いい方法ですよね」
そう思うが早いか、きょろきょろと辺りを念入りに見渡し誰も居ないのを確認して、破片を拾い集める。
その間、ほんの数秒。
山田、ここに来てからお掃除だけは得意になったんです!
「よし、これで大丈夫ですね!寧ろ、お皿割っちゃう前より床が綺麗になりましたよ」
ふふん、と踏ん反り返ってみたりします。
と、その時、背後に気配を感じて、ぞわりと肌が粟立ちました。
この匂い、山田、嫌でもわかっちゃいました、きっと―――
「佐藤さん!?」
くるっと大きく振り返ってみるも、そこに立っていたのは思い描いていた人物とは似ても似つかない人で。
優しそうな雰囲気を纏ったその人は、山田を見てにっこりと笑いかけました。
「残念でした。俺だよ」
「あれ、相馬さん?」
おかしいです。今まで一度も勘が外れた事がないのに。
思わず寄せた眉間に、相馬さんが苦笑いしています。
「どうしたの?佐藤くんに何か用でもあるの?」
「あ、いいえ、そうではなくて…あれ?」
そこで、はた、と気付く。
今も尚、佐藤さんの匂いが鼻を掠めていく事に。
でも、きょろきょろと見渡してみても、背の高いその人は全く見当たらない。
「佐藤さん、居ませんよね?」
「え?うん、まだ倉庫に居ると思うけど…どうしたの?」
「いえ…」
山田の嗅覚はすごいんです、自画自賛です!
__いえ、本当に、外れた事がなかったので、実はショックが大きいです。
「うう…山田の特技は、もう使い物になりません」
「え?どうしたの山田さん。変な物でも食べちゃった?」
慰めてもらおうと、相馬さんの腰に、ぎゅーっと抱き付いちゃいました。
ふわり、と漂う相馬さんの優しい香りに、山田はめろめろです。
なんと言っても、相馬さんは山田の優しいお兄ちゃんなのですから!
無残に飛び散った真っ白な欠片に、さぁっと血の気が引いていく。
今日はこれで三度目の失態です。
これがバレたりしたら、小鳥遊さんに拳骨を落とされるやもしれません。
「無かった事にするのが一番いい方法ですよね」
そう思うが早いか、きょろきょろと辺りを念入りに見渡し誰も居ないのを確認して、破片を拾い集める。
その間、ほんの数秒。
山田、ここに来てからお掃除だけは得意になったんです!
「よし、これで大丈夫ですね!寧ろ、お皿割っちゃう前より床が綺麗になりましたよ」
ふふん、と踏ん反り返ってみたりします。
と、その時、背後に気配を感じて、ぞわりと肌が粟立ちました。
この匂い、山田、嫌でもわかっちゃいました、きっと―――
「佐藤さん!?」
くるっと大きく振り返ってみるも、そこに立っていたのは思い描いていた人物とは似ても似つかない人で。
優しそうな雰囲気を纏ったその人は、山田を見てにっこりと笑いかけました。
「残念でした。俺だよ」
「あれ、相馬さん?」
おかしいです。今まで一度も勘が外れた事がないのに。
思わず寄せた眉間に、相馬さんが苦笑いしています。
「どうしたの?佐藤くんに何か用でもあるの?」
「あ、いいえ、そうではなくて…あれ?」
そこで、はた、と気付く。
今も尚、佐藤さんの匂いが鼻を掠めていく事に。
でも、きょろきょろと見渡してみても、背の高いその人は全く見当たらない。
「佐藤さん、居ませんよね?」
「え?うん、まだ倉庫に居ると思うけど…どうしたの?」
「いえ…」
山田の嗅覚はすごいんです、自画自賛です!
__いえ、本当に、外れた事がなかったので、実はショックが大きいです。
「うう…山田の特技は、もう使い物になりません」
「え?どうしたの山田さん。変な物でも食べちゃった?」
慰めてもらおうと、相馬さんの腰に、ぎゅーっと抱き付いちゃいました。
ふわり、と漂う相馬さんの優しい香りに、山田はめろめろです。
なんと言っても、相馬さんは山田の優しいお兄ちゃんなのですから!