始まりの日
ふと目が覚めたのは真夜中で、辺りを見回したが暗闇ばかりで赤い焔など見えはしなかった。
隣には黒髪の男が眠っていた。そうだここは彼の家だ。
すべてを取り戻してもなお、毎年この日は燃える家の夢を見る。
許してと懇願して目覚める夢が、許さないでと願うものになったのはいつからだったろう。
永遠に許されなくても構わないから。それでも彼の元へ行くオレをどうか・・・と。
夢では記憶が刷り変わっているけど、思えばあの時既に予感はあったのだろう。
そしてオレは今もこの男の側で生きている。
あんたは知ることはないだろうけど、オレはずっとあの日のことを覚えているだろう。
あんたと生きると決めた、始まりのあの日のことを。
忘れない、あの日を。
永遠に、あの日を。
Don´t forget 3.oct.11―