甘ったれと甘やかしと隕石とストレス
「ごめんなさい。・・あのときは、それを、選びたかったんです。―― もし、今度似たようなことがあったら、まっさきに相談します」
「―― おう、そうしてくれよな」
ボスとしての一言を伝え、気が楽になった男は、改めて弟分をみた。
「・・・なんか、今度の件で、あったのか?」
「え?」
「いや、・・・なんつーか・・雰囲気変わったっていうか、・・・変に色気がついたっていうか・・・」
「いろけえ?・・・貫禄の間違いじゃないですかあ?」
「あ、そっか。そういうことかあ」
笑いながら立ち上がり、大きな机で仕事を続ける相手のそばに立つ。
さっと肩に腕をまわし、顔をのぞく。
「―― ふうん・・・。ま、いっか」
ぽん、と肩を叩いた兄貴分がいつものように額にキスをする。
「じゃあな、ツナ。また来るぜ。―― そういやあ、この頃スクアーロの噂も聞かねえから、よろしく伝といてくれよ」
「ああ、今はきっと、北の方かな?そろそろ戻ってくると思うけど」
「・・・隕石の、発見か・・・」
「え?」
「なんでもねえよ。―― 次の休みには、おれとも遊んでくれよ」
「ええ?ディーノさんとなら、いつでも」
がばり、と大げさなくらいの勢いで兄貴分がだきついた。
「―― おれとも、何か発見してみねえか?」
休み明けに、ずいぶんと雰囲気が変わった童顔男には、このところ、各方面からのお誘いが、絶えないらしい。
――――― クセになるほどの、甘いお味は、いかが?
作品名:甘ったれと甘やかしと隕石とストレス 作家名:シチ