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こらぼでほすと 拉致8

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翌日、某所に集合した面々は観光バスに乗り込み、そこから割と有名な特区の神社に向かった。添乗員役のディアッカはビジネススーツに旗を掲げているし、マリューやアイシャは訪問着、フェルトは振袖、年少組は軽い感じのアンサンブルの着物で、他はカジュアルな格好だ。ちなみにラクスは大きな帽子を被ってメガネをかけ、顔にはソバカスをつけて変装している。これでは、どこから見てもわからない。ちゃんと悟空とトダカも参加している。トダカーズラブの面々も一緒だ。
「はーい、みなさーん、まずは本殿でお参りでーす。ついてきてくださーい。」
 バスから降りたら添乗員が旗を振りながら大声をあげて誘導する。本殿までの道には左右に露店が並んでいて、りんご飴やわたがしの定番モノから、おでんややきとりの屋台、あてもの、射的、輪投げなんて遊びモノもある。
「あ、あれ、後でやろう、ミーア。」
「いいですね、キラ。」
 きゃわきゃわと年少組は大騒ぎでついていく。ぞろぞろとツアー客が移動しているという設定なら盛り上がってテンションが高くても、周囲も不審ではないらしく、スルーされている模様だ。

 初詣をして、露店を冷やかすと、別荘へと移動した。大人数だから、エアポートから大型ヘリで一気に送迎してもらう。民間会社と契約しているので、そういう時は、そちらに依頼しておく。ビュッフェ形式の食事をして、午後から凧揚げ大会だ。それが終ると、ラボの演習用のドームで羽根突き大会となる。
「ここなら風がないからテクニックの問題だ。」
「これ、ほんとに飛ぶのか? 」
「見本を見せるから、こんな感じで。あと、ミスすると墨汁で顔にバツを描かれる。」
 はい、こんな感じと、アスランとキラが極東出身として見本を見せる。ポーンポーンと小気味良い音がして鳥の羽のついた羽根が行き来する。それを打つ羽子板という変った形のラケットだ。
「卓球の台がない感じかしら? 」
「セパタクローの手でヤル感じ? 」
「まあ、そんなとこだな。おい、アスラン、女性陣は墨は免除しとけ。後が大変だからな。」
「了解です、鷹さん。じゃあ。始めようか? フェルト、おいで。」
 さすかに着物では動けないから着替えている。キラが対戦相手だ。ほら、打って、と、軽く打ち上げてフェルトに練習させる。どうせ、年少組やイザークたちの出番になると白熱した試合になるから最初は、そこいらから始める。



 久しぶりにラボに入れてもらったニールは管制室のほうに顔を出した。本日限りの生体認証だよ、と、キラから注意されている。ダコスタが休憩していたから、今はハイネの当番だ。そこへ軽食を運んできた。
「よおう、ママ。おめでとう、今年も愛してるぜ。」
「おめでとう、ハイネ。休憩しろよ、俺が交代するぜ? 」
「バーカ、キラが、そんなことさせるわけがないだろ? おまえの認証が効いてるのはドアの開閉だけだ。機器なんて動かせるヘマはしてねぇーよ。」
 ここの機器は、全てにおいて、まず生体認証の確認がないと動かせない仕組みになっている。常時ではないが、動かしている最中にも生体認証のチェックが入るから、他人の認証で使えば、すぐに緊急コールがラボ中に響き渡るようになっている。表向きには、ニールに組織のためにオレンジ子猫の捜索をさせないためだが、元々の理由は、それではない。ニールは日常担当だから、殺伐した情報なんかに触れさせて落ち込ませないためだ。
「あいつ、そこまでするかぁ? 」
「するだろ。おまえさんの経歴は華々しすぎてヤバイからな。・・・子猫たちはいいのか? 」
「ああ、ラボの演習ドームで羽根突き大会をやってる。俺、昼寝時間だからって追い出されたんだ。」
 午後から一時間は、昼寝タイムだと言い渡されて、別荘へ追いやられた。そこまですることはないだろう、と、ニールは別荘で軽食を用意してもらって、こちらに降りて来たのだ。おもに、ハイネに頼み事をするためだ。
「なんだ? 間男に用事でもあったか?」
 システムの前に陣取ってハイネは紅茶を口に含む。何かしらの情報の検索でも頼むつもりか、と、思った。そういう意味なら、ハイネは優秀だ。『吉祥富貴』の諜報担当だから、かなりの情報は頭に入っている。
「・・・あのさ、ハイネ。組織が本格的に再始動したら、俺も、ここに手伝いに来たいんだけど、そういうのってダメなのかな。」
「はあ? 」
「情報を盗もうとか、そういうことじゃないんだ。・・・その・・・組織がどうなってるのか、ちょっとだけでも知りたいんだよ。」
「俺が寺へ戻ってる時に教えてやるぐらいでいいだろう。おまえ、それ、キラに言ったら、エライことになるぜ? 」
「わかってるけどな、たまにでもいいからさ。」
 親猫が言うことは、ハイネにも理解できるが、許可できるものではない。どう考えても、再始動後は、かなり過激な戦闘が続くだろうからだ。そんなものを知ったら、親猫が心配で落ち込むのは目に見えている。
「無理言うな。ママニャンが心配するのはわかるけどさ、俺が許可できるようなことじゃない。生体認証の管理はキラの担当だ。どう考えても、あいつはうんと言わないよ。ここで采配揮ってダウンしたのは、どこの美人さんだったか覚えてるよな? 」
「あれは・・・治療中だったからで、体調は良くなってる。」
「そこじゃない。・・・おまえさんが、ここのシステムを完全に扱えるってことが判明したってとこが問題だ。元テロリストに、うちのシステムを掌握されて見逃せるわけがないだろうが。」
 万が一にでも、ニールが組織を助けるために、ここから指示を出したら、確実に、『吉祥富貴』は戦争に加担したことになる。ニールはそれで、ここが攻撃されることになっても、組織が助かれば死んでもいいと思うだろうが、こちらは、そうはいかない。ラボは、『吉祥富貴』の基幹のひとつだ。ここを抑えられたら、『吉祥富貴』は敗北する。それだけの情報やシステム、MSが、ここには存在しているからだ。
 それらを説明して、ハイネも顔を顰める。それだけが理由ではない。本当のところは、そういうものと無縁の場所に、ニールを生かしておきたいという意図がある。キラもラクスも、ニールがどれだけ優秀なテロリストだとしても、その能力に期待なんかしていないからだ。刹那たちが帰れる場所として、『吉祥富貴』の日常の担当だけしていてもらいたいと願っている。日常を担当するぐらいしかニールの体力は保たないのだ。それを当人に知らせずに、生活させるにはラボの出入りなんか許可できるわけがない。
「俺は聞かなかったことにする。早く、別荘へ戻れ。」
「なら、キラとラクスの許可を取ればいいんだな? 」
「絶対に無理だ。」
「・・・まあ、作戦は考えるさ。まだ、再始動まで少し時間はあるみたいだからな。」
 フェルトと刹那が接触しているのに、帰れという指示はない。つまり、まだ組織は再始動する時ではないということだ。今年の後半ぐらいだろうか、と、ニールも考えている。それまでに、キラとラクスから、ラボの出入りの許可をもらえれば、どうにか間に合う。
「無茶なことを考えるなよ? 」
「さあなあ。」
作品名:こらぼでほすと 拉致8 作家名:篠義