ルック・湊(ルク主)
「湊・・・。」
「えっと・・・もう、おはよう、でいいんだよね!?」
「・・・ああ。・・・君・・・。」
湊に近づいて、ルックは少しびっくりしたように呟く。
「ああ。・・・えっと・・・ありがとうね、ルック。僕・・・昨日はほんと・・・ちょっとダメになりそうだったよ。何もかも呪ってた。何もかも無くなればいいと思ってた。そして自分すらもいらないと思ってた。まだまだ子供だね・・・。」
「っそれは違う。」
どんな大人であれ、大切な人を失って少しでもそう思わない者なんていない。
「?そう?でも・・・ルックがね、ギュっと僕をつかんでくれたから。ものすごく痛くて苦しかったココがね、なんていうかな、変わらず痛いんだけど・・・でも治療されたっていうのかな、うん、助けられたの。ありがとう、ルック・・・。」
ココ、と胸に手をやってから、湊はまだ少し元気ないながらも、ニッコリとルックに礼を言ってきた。
「・・・僕は・・・何も・・・」
「ううん。違う。ああやって触れてくれただけで。別に何も言ってほしい訳じゃないよ・・・何かして欲しい訳じゃない。結局立ち直るのは自分の力でしかないから。ただああやって触れてくれただけで、支えてくれているのが心の底から分かったんだ。十分すぎるよ。それにね、夢にナナミが出てきたんだー。笑ってた。そんで僕にも笑ってほしそうだった。」
「湊・・・。」
「まあ、まだまだ完全に立ち直ってる訳じゃないけどね。それは仕方ないよね、だってほんとうに大切な人だか・・・だったから。だからもちろんまだまだ全然辛いし悲しいよ。それでもこれは僕だけじゃない。クラウスや他の大勢の人達がきっと今回の戦いで味わっているよね。だから・・・」
前に進むの、と赤い目をした湊はニッコリして言った。
なんなんだろう、この子は。
なんて子なんだろう、この子は。
ふと、レックナートが言っていた言葉を思い出す。
“いかに無力を感じようとも人は意味なき存在ではありません”
ルックまでもが、何か色々な可能性を見せてくれそうな、思わずそんな気がした。
詩遠でさえも予想出来なかっただろう。
この子の強さに尊敬の念すら、ルックは覚えた。
作品名:ルック・湊(ルク主) 作家名:かなみ