ルック・湊(ルク主)
喧噪
「な、な、な・・・」
口をパクパクとさせているルックに、湊が腕を体に回したまま見上げて小首を傾げる。
「な?」
それを見て一瞬黙り、少し仮面の下では赤くなったルックだったが、気を取り直して口を開いた。
「何で君がここにいるんだっ!!」
「まあまあ、ルック、少しは落ち着いて。」
詩遠がニッコリと近づいてきた。
「君は少しは動じろ!!ていうかほんとなんでここに君達がいるんだ。」
「ルックひどい!」
「まあまあ、湊も。いや、ね?大した事じゃないんだけどねー?俺ら、ルックと一緒に住もうかなぁて思って、ね?」
「帰れ。ていうか特に君は消えろ。」
「いやん、ルッきゅんたら、久しぶりに会ったのにつれない態度ね、ツンか?ツン復活か?」
最近ずっとおだやかでいたというのにこいつっ・・・。
ルックの何かが切れそうになる。
しかもいつの間にか湊は詩遠の後ろに隠れてるし。て言うか、何、この人ら。今まで2人でここまで旅、してきたわけ?え?2人で?
「う、うるさい!!とりあえず、か・え・れっ!!」
「ルッきゅんたらそんな怒ってばっかりだと血管切れるよー?」
「そうだよールックのバカー。僕はこんなに会えて嬉しいのにバカバカー。」
湊が詩遠の後ろから覗き込んで言う。
詩遠が、“だよ、ねえ?”とニッコリと微笑みながら後ろに隠れている湊の肩に腕を回し、頭にキスを落とした。
「て、何をしてるんだこのおバカ!!」
ルックが慌ててそんな詩遠から湊をはぎとった。
「君も簡単にそうやって隙をあたえてるんじゃないよ!」
「別に隙なんて作ってないもん。別に詩遠さん好きだからいいんだもん。」
「っ!君ね!」
そんな2人を見ていた詩遠はニヤリ、と笑ってから口を開いた。
「まあ、じゃあいいよ、ルック。おいでー湊。」
そう言って言い合っている2人の所へ行き、湊を抱きよせて歩き出す。
「どうもルックは気に食わないみたいだし?それにうるさいから、宿屋にもどって2人きりでゆっくり今後の事、話そう、ね?ゆっくり、と。」
「え?」
「ちょっ!待っ!」
ルックがおもわず呼びとめる。詩遠は、なにか?と振り返った。
「っく・・・。わ・・・分かったよ・・・べ、別に宿屋なんか、使わなくても、ぼ、僕のところに来れば、いいっ!」
「わー、どしたの?ルック?でも良かった!ね?詩遠さん!」
「うん、そうだね、良かったね、湊。」
「っくそ・・・。とりあえず僕は今からやる事があるんだ。それにはついてくるな。どうせまたここに一旦戻って来るから、大人しくそれまで待ってろ。」
「えー。」
「えー、じゃないよ湊。じゃないと家には入れないからね。」
「分かったよ。でも絶対戻ってきてね?待ってる。」
「・・・。」
ルックは黙って顔をそらし、出て行こうとした。
「ていうかルッくん、その仮面、邪魔。今も絶対お前、赤くなってたろ?そんなルッきゅんのお顔が見えないなんて詩遠寂しい。」
「・・・アンタほんと気持ち悪い!黙れ。」
「えー?いやいやルックのその仮面の方が色々どうかと思うけど、ね?なんだそれ。突っ込み待ちじゃなかったのか?」
「そうだよー、何それルック。何もそんな怖い民族用みたいな不思議な面選ばなくてもいいじゃん。もっとほら、こう、せめてルックのカッコ良さをひきたてるようなものはなかったの!?」
「・・・く・・・。セ、セラ、行くぞ。また時間がなくなってきた。」
「・・・はい。では後でお迎えにあがります、詩遠さま、湊さま。」
今まで3人の様子を黙って見ていたセラがそう言って、大股で出て行ったルックの後について行った。
内心、久しぶりに見たルックの色々アレな様子と、後、三角関係にひそかにニッコリとしながら。
2人が出て行くと詩遠が言った。
「んー、時間つぶして邪魔しようとか思ったんだけど、ねー?」
「はい。でも仕方ないです。これからいっぱい邪魔、してやるんだ、ひそかに。」
「でも湊。きっとルックはそれでも突き進むと思うよ・・・?それほどにきっと決心は固いんだろうし。」
「・・・。はい。それでも僕は黙って見守るとか、嫌だ。世界が終焉を迎えるというのなら、僕はそれに対しあがく。黙って大人しく紋章が導く結末になんて辿りつくつもりなんてないもの。・・・だけどそれは僕がその終焉の様子を見ていないから言える事なんだろうなって思います。ルックはそんな辛い未来をずっと見続けさせられていたんだ・・・紋章に。」
「ん。」
「そんな辛い苦しい思いをしてるルックに僕は何もできなかった。」
「それは仕方ないよ。」
「はい・・・。仕方ないのかもしれませんが、それでも。だからせめて邪魔をするの。余計な事だと思う。むしろあれほどの決意を持ったルックに対する仕打ちになるのかもしれないけれども・・・でもそれでも。邪魔、陰でしてやるんだ。」
「ふふ。」
「あ、でもちゃんとまた、ルックには色々聞きますよー?」
「うん。俺も聞くよ。」
その後上手く事が運ばず、仏頂面のルックが迎えに来た時、ルックから見れば最早『いちゃいちゃ』という擬音でも聞こえてきそうなほどの仲の良い2人を目の当たりにして、さらに機嫌が低下したルックに詩遠はニッコリと笑みを見せた。
「おかえり。じゃあ、皆で一緒に帰ろうか?」
「・・・く。」
そしてセラの魔術であっという間に現在のルックの住みかに着いた時、目の前では遺跡でもいた、黒い服の男が唖然としていた。
「っお前は我が悪夢の元凶!!呪われし子!!」
「へ?え?あ、もしかして、ユーバー!?」
「うわー何なのルックもずいぶん変わったけど、ユーバーも何それイメチェン?鎧はどうした?」
湊が驚いている横で詩遠が軽く突っ込んだ。
「鎧?ああ。ふん。あれは邪魔だ。こっちの方が動きやすい。」
「・・・まあ、至極まっとうな答えだね・・・?」
詩遠がニコリと答えた。その後。
「て、呪われしとか、ひどい!!僕呪われてないもん!いきなりなんだよ!」
「うるさい、チビ。」
「!!!ひそかに気にしてるのにっ気にしてるのにっっ!ちょっと自分が大きいからって!そんな事言うならルックだって大きくないじゃん、セラの方が大きいじゃん!」
「ちょ、湊!?それ僕引き合いに出す意味あるの!?セラとの身長差は言うな・・・。」
「私はどんなルック様でも問題ありません。」
「セラはちょっと黙って。そのフォローは僕的になんだか痛い。」
「・・・それよりもルック様。拾って持ち帰るような真似は謹んで下さい。」
「え?ああ、アルベルト、すまない。」
「ていうか僕らを捨て犬扱いした!」
「先ほどからほんとお前うるさいな、チビ。混沌は好きだが騒がしいのは敵わん。俺はちょっと出てくる。」
「どこへ行くのですユーバー。もう晩御飯の時間ですよ。」
「うるさい女。飯はいらんと言ったろうが。」
「また女呼ばわりしました、ね・・・?そんな態度をとるなら私にも考えがあると言ったはずです・・・。」
「やめろ、セラ。ユーバー、それこそ僕も言ったように、ご飯はちゃんと食べるんだ。」
なんとも騒がしい状況に陥り、だがそんな様子を詩遠は黙ってニコニコと楽しんでいるようであった。
作品名:ルック・湊(ルク主) 作家名:かなみ