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ルック・湊(ルク主)

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「やっぱり、邪魔、します。」
「分かった。」
「とりあえずですね、詩遠さんがおっしゃったんでちょっと今まで水の気配を探ってみてたんですけどねー、この先の村には確かに真なる水の紋章が封印されてるようです。」
「分かるの?すごいね、湊、最早ルックより紋章を察知する能力あるんじゃないの?」
「いえ、僕の場合はこの紋章の力がそれに関して強いだけで、僕は全然それに伴った能力は発揮できてないですー。だから近くの事しか分からないし・・・。とりあえずここに後でルックが来るなら邪魔、したいなぁ。さっきユーバーにしたみたいに、存在くらいはチラつかせるのも面白いけど・・・でも、あからさまに目の前で邪魔したら今後絶対警戒されちゃうだろうしなー・・・。んー・・・どうしましょう、偵察に村、入ってみます?」
「んー俺が入っていっても悪目立ちしそうだけどね?多分この先の村はアルマ・キナンの村だ。普通は結界により入れない上に、中にいるのは女性だけの何とも素晴らしい村だよ?」
「素晴らしいて。思いっきり主観入ってますよ?そかー・・・。あ、クリスさんに取り次ぎを頼む、とか。」
「ん、そうだね・・・じゃあね、俺は隠れてるから湊、頼んでみて?」

詩遠がニッコリと言った。

「なんで?別に良いですけど・・・。」
「湊なら大丈夫なような気がするから、かな?」
「??」

湊は首をかしげつつ村の入り口に近づいて行った。詩遠は木陰に隠れて様子を見る。もし万が一湊に危険が及びそうな場合は即座に対応するつもりであった。
湊が入口の誰かに声をかけたしばらくのち、クリスが驚いたような顔をしてやってきていた。傍にはナッシュと呼ばれていた男がついてきており、湊を見てまた別の意味でだろうか、驚いている様子であった。
湊はお願いをするようなポーズをとっている。そして3人はこちらのほうに近づいて来た。

「一体どうしたと言うんだ・・・?あなた方は何者?」

詩遠の姿を見た後でクリスが口を開いた。

「ごめんなさい、クリスさん。僕らちょっとね、とある事件を追ってて。で、たまたまこの村に僕たちが探ってる気配を感じたんだけど・・・えっと今日は何かあるの?色々な準備をしてるように見えた。」

湊がコテン、と首をかしげて聞いた。

「ああ、ちょっと・・・儀式が・・・。」
「ああなるほど・・・魂送りの儀式か。」

詩遠が納得したように言った。クリスが詩遠を見る。

「知っているのか?あなた方は・・・グラスランドの人には見えないが・・・。」
「ん、まあ、ね。・・・お連れさんは湊の正体、知ってそうだけど、ね、なんとなく。」
「え?そうなのか?ナッシュ?」
「いや・・・ああ・・・。・・・デュナン王・・・」
「・・・え?」

ナッシュが呟いた言葉にクリスは耳を疑う。
湊は苦笑した。

「わあ、そこまでバレてるんだ!?」
「え?ほ、本当なの・・・?」
「ああ、俺は彼を昔デュナンで見たことがあるんだ。その後戦争に勝ち、王となった事も知っているし、な。そしてあの頃から全然見た目が変わっていないからな、間違いない。」
「見た目が?って、どういう意味?」
「彼も・・・先ほどユンが言っていたように君のお父さんと同じく真の紋章を宿しているはずだ。」
「クリスのお父さんも真の紋章継承者なの?へぇ、子供、作ったんだ!」
「湊、驚くところが違うよ?・・・ナッシュ、と言ったか?あなた、ハルモニアの人間だね?」

詩遠がニッコリと湊に笑いかけてからナッシュに笑顔のまま聞いた。

「・・・なぜ。」
「ふふ。見た目、かな?ここには何をしに?」
「それを君たちに言う必要があるかい?」
「まあ、ないだろうね?だがハルモニアの人間だとなると捨て置けないね。真の紋章を宿す側としては、ね?」

変わらず笑顔で言ってはいるが、詩遠の周りの空気がどことなく重苦しいものになる。
ナッシュはふう、とため息をついて両手を降参、とばかりに挙げる。

「別に今は真の紋章をどうとしろ、といった調査依頼は出ていない。俺は別件で来ただけだ。安心しろ、お前らの事を言うつもりはない。・・・こちらに不都合がない分には、ね?」
「ふーん?そう。勿論あなた達に不都合なんてあるはずもないよ?・・・こちらに支障がない限り、ね?」
「って2人ともなんか怖いですから!もー。クリスさん、ナッシュさん、僕らは別に妙な事をたくらんでたりとか悪い事をしようなんてこれっぽっちも思ってないよー!ただ調べたい事があっただけなのに・・・。」

湊がなんだか悲しげに言う。

「あ、ごめんね?湊・・・。」
「す、すまない。」

詩遠は心なしか楽しげに謝っていたが、ナッシュは思わず本気で謝っていたようだ。
その湊は今度はニッコリ笑って口を開いた。

「ううん、分かってくれたら、いいの。ねえクリスさん。お父さんが宿している紋章って、なあに?」

あまりにも無邪気に聞かれ、クリスは何の構えもなく、つい“水”だと答えていた。

「そ、か・・・。この儀式にじゃあ、お父さんも来るの?」
「え?ああ、いや・・・ただ・・・私にもよく分からないが、儀式の後で封印が解かれるとかなんとか・・・。」

クリスが首をかしげつつ答えた。
詩遠が納得したように口を開く。

「そうか・・・紋章はきっと祠に・・・。んー・・・。・・・えっと、クリス。もしかしたらここにその儀式を邪魔し、祠のようなところで何かをしようとする者たちがあらわれるかもしれない。あなたはどうか、その腕を生かして儀式を守り抜いてあげて欲しい。」
「・・・え?一体・・・?」
「いや、俺らが来た事はもう忘れて、どうかもし誰かが邪魔しにきたらここの村を守ってあげて?」

訳が分からない、といったクリス達に時間をとってくれてありがとう、と礼を言った後で、詩遠はニッコリと湊をひきつれその場を去った。
ナッシュとクリスはポカン、とした様子で2人を見送っていた。

湊は村から離れてからようやく質問した。

「詩遠さん、どういう意味?」
「ん?ああ、まず、儀式の事だけど、ね?ここの村では村人の誰かが、魂を精霊に捧げてグラスランドの加護を祈るという儀式があるんだ。」
「ええ!?そうなんだ・・・。なんか・・・ほんとうに自然と共存して生きているんですねぇ・・・色んな文化があるものですね・・・。」
「そうだね。で、その儀式の際に多分そこにあるであろう真なる水の紋章の封印が解かれるんじゃないかな、さっきクリスが言っていた事なんだけど。」
「なるほどー・・・。じゃあ要はその儀式が邪魔されず無事終わればいいんだ?」
「まあ、そういう事だね。」

すると湊はニッコリと笑った。
作品名:ルック・湊(ルク主) 作家名:かなみ