ルック・湊(ルク主)
「ああ、あの部屋をご覧になられましたか!!いや、もうほんとアレらを集めたり作ったりするのにはなかなか苦労したしましたぞ!」
「・・・相変わらず通じないね。・・・まさかあんなものを作る為に税金などは使っていないだろうね・・?」
「いえいえ、アレらは我ら一部の者のポケットマネーでですが、何か?」
「・・・そう。」
詩遠は優しげにニッコリと笑った。“わあ、やっぱりかっこいい”などと湊が目をキラキラさせているのを、ルック達は痛い子を見るような目で見ていた。
なんとかようやく解放され、城を出た頃には夕暮れになっていた。
そして城を出たところにたくさんの人々が立っていた。どうやら戻ってきたらしいとの噂がかけめぐり、皆が詩遠を待っていたようである。
たくさんの人々が詩遠達を取り囲む中、ルックが湊に声をかけた。
「湊、ちょっと・・・」
そうして少し離れた木陰に連れだした。
「ど、どうしたの?ルック。」
「どうしたの、じゃないだろ。ほんとはコウって子を他のヤツらに任せて、君だけでも連れて帰りたいところだったよ。」
「え・・・」
「気を張っているからなのか?正直、立っているのも辛いんじゃないの?」
「な、なんで・・・」
「・・・かなり力を使ったし、ね・・・。ムリ、しなくていい。今すぐにでも帰ろう。」
「・・・でも・・・せっかく皆、再会出来て・・・。ルックだって・・・」
「関係ない。僕は君を中心に動いている。他は関係ない。さあ・・・」
「っルック・・・。ありがとう、うれし、い・・・」
一気に気が抜けたのだろうか、湊はニッコリとお礼を言っている途中で意識を失った。ルックは慌ててそんな湊を支える。
「くそ・・・」
「どうしたんだ・・・?」
ルックが移動をしようとした時、いつの間に来ていたのか、詩遠が傍におり、声をかけてきた。
「意識を失ってるじゃないか!いったい・・・まあ、今はそんな事、言ってられないな、リュウカンを呼ぶ。とりあえず俺の家に。」
「いや、このまま・・・・・・いや、そうだ、な、ムリに瞬間移動して負担があってもいけないし、お願いする。でも、リュウカンはいらない。」
「なん・・・まあ、いい、分かった、とりあえず運ぶよ。」
詩遠が軽々と湊を抱きかかえて運び出す。魔術師だからとはいえ、そうやって軽々と湊を抱えて運べない自分をふがいなく思いながら、ルックは黙って後をついていった。
作品名:ルック・湊(ルク主) 作家名:かなみ