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ルック・湊(ルク主)

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虎視4



詩遠とシーナの2人は城下町に出て、店を探す。手分けせずとも、臨時で入っている店舗はすぐに見つかった。
そこは色々な変わった草花が店を華やかに彩っている。湊の言っていた通り、種類も多く、あまり見かけないようなものも置いてあるようであった。

「・・・いらっしゃいませ。」
「あ、さっきの!」

シーナがつい指を差して叫けび、慌てて口を手で押さえた。店主らしき男は何事かと首を傾げる。
詩遠は男を見た。
20代半ばほどであろうか、だが物静かな様子で、いきなりやってきた2人の前で黙って要件を求めるように立っている。その姿は独特の雰囲気があり、その辺にあるような普通の花屋で働く者の雰囲気とはどうも違うように思えた。
かといって、ストーカーまがいのような事をしたり、魔物やらを使ってまで湊を連れ出したりするような狂気は感じられない。いくら隠し事が得意であろうが、基本的に普通の人間なら、今先ほど人の目をくらませて自分が執着する少年を手に入れたのなら、どこか高揚した様子や焦った様子など、何か変化が見られるはずだと詩遠は思った。

「失礼。急ぐので単刀直入に聞く。軍主を浚うような真似をした記憶はあるか。」
「ちょ、おま、そんな・・・」

シーナは慌てた様子で詩遠を見たが、そのまま詩遠は花屋を見つめた。

「・・・軍主・・・?ああ、あの小さな少年・・・。確か、湊様、と・・・。・・・浚われたのですか?」

表情はあまり変わらなかったが、眉根を寄せたその様子は色んな人を見てきた詩遠にとっては、作りごとでなく心配しているように見えた。

「・・・ああ、そうだ。申し訳ない、失礼な事を聞いて。すまなかったね。」
「いえ・・・。と言う事はこの期間に入ってきている店舗の者が怪しいという事ですか。」
「ああ・・・まあ、ね?」

そう言って歩き出そうとした2人を、花屋は引きとめた。

「お待ちください。協力、させて下さい。あの少ね・・・いえ、軍主様はこんな私にいつも笑顔で接して下さいます。そしていつも花を褒めて下さいます。・・・なにかお役に立てるかも。その浚った者に何か特徴、もしくは今まで何らかの接触などはなかったのですか?。」
「多分そいつは軍主として、や金品目当てなどで湊を浚ったのではないと思われる。ただ・・・多分湊を・・・自分のものにしたいのでは、と考えている。あまり存在は感じられないがストーカーまがいの行動はとっているようだ。そして数日前、湊の部屋に忍び込んで、『ガマズミ』という種類の小枝をベッドに置いて行った。今言えるのはそれくらいなんだ・・・。」

詩遠は構わないだろうと判断し、かいつまんで説明する。

「ガマズミ、ですか。・・・ああ、それもあって私をお疑いに。あまり誰もが知っているものではございませんものね。で、その小枝はまだ残っているのでしょうか?」
「・・・なぜ?」

一応証拠品として、シュウの部屋に保管してある。

「そうですね・・・もう分からなくなっているかもですが・・・ええ、出来れば犯人が触れたであろう、その植物を見させて下さい。お役に立てそうです。」


一方ルックは詩遠とシーナが城下町に移動している間に、既に瞬間移動でレストランにいた。
そこはまだ先ほどからそう、経っていない為、閉店の札がかかっていた。構わず中に入るとハイ・ヨーが店員に、何があったのか話を聞いているところだった。ルックに気づいたハイ・ヨーがルックに向かって言った。

「あ、まだ店は開けてないあるよー。」
「分かってるよ。何。ハイ・ヨー、また店、空けてた訳?」

これじゃあろくに話も聞けなさそうだ、とルックは思った。

「そうあるよー。誰のいたずらか知らないあるが、幻の食材が畑に生えてきたとか嘘の情報流してきた者がいたあるよ。わくわくして行ったのに、とんだ迷惑ね。おまけに戻ってきたらとんでもない事になってたみたいあるしねー。」

どうやら調理しながらも店内をよく把握しているハイ・ヨーが邪魔だと思ったようだ。しかしそんな単純な嘘にひっかかるのはどうかと思うが・・・。
それにしても、湊達が昼を食べに行こうと決めたのは本当にレストランに来る直前だったはず。なぜここまですぐに手配出来るんだ?まるで・・・。
ルックはハイ・ヨーに聞いた。

「それは誰から聞いたんだ?」
「わたしは店員の一人からよー。」
「その店員はどうやって知ったんだ?」
「あ、えっと、私ですけど、その、私もここで聞きまして・・・。」
「誰からっ。」
「あの、最近いつも昼時にはここで一緒に働いている人からですっ。」
「そいつの事、教えて!」


「詩遠、シーナ!」

ルックが詩遠の紋章の気配をたどって飛んだ先は、まだ花屋だった。
丁度花屋が詩遠達にガマズミを貸して欲しいと言った後で、さすがに一応部外者の詩遠が、シュウの部屋に立ち入る訳にもいかず、シーナが急いで枝を取りにいっている時だった。

「ルック。どうした、何か分かったのか?ちなみにこの花屋は関係なかった。」
「ああ、知ってる。犯人が多分分かった。」
「なんだって!?」
「そこの先にある点心を売ってる店のヤツだ!昼時には店を他の従業員に任せて、いつもハイ・ヨーのレストランで出張をしていたらしい。だから今日も湊が来た時にすぐに行動に移せた!むしろどうもかなり焦った行動をとったようだ、今まで全然ボロが出なかったというのに、計画が穴だらけだ。」
「そういえば、シーナが言ってたね、食べ物屋のヤツに声、かけられてたって。で、そいつの行き場、分かるの?」
「っそれが分からない・・・。相変わらず紋章の気配がしな・・・・・・いや、今かすかだが、何か・・・?・・・だがまだ薄い・・・。」

2人が話をしている間に、シーナが息を切らして戻ってきた。
花屋に小枝を渡しながら2人の話を聞く。

「ありがとうございます。失礼。」

そう言って花屋は手袋をはずしてその枝を手にとった。そして目を瞑りしばらく黙っている。3人もその様子を黙って見ていた。

「・・・そうですね、彼なら見た事があります・・・。」

見えるのか?などとは誰も口にしなかった。疑問はあれども、今はそれどころではない。

「・・・では・・・」

すると何やら呪文を詠唱し出した。花屋とルックたちの周りが黄色に輝き出す。

「「「!?」」」

訳のわからないまま4人はそのまま地面の下へ消えて行った。


また更に、一方。
作品名:ルック・湊(ルク主) 作家名:かなみ