とある人の(非)日常?[前編]
「帝人君、今から五数えたら合図するから、そしたら全力で走るよ」
臨也は、帝人にしか聞こえない声量で言った
帝人は聞き返そうとしたが臨也に
「し~、いいかい合図したら走るよ」
そう、囁かれ帝人は小さく頷くしか無かった
良い子と言うように臨也は頭をポンポンと撫でると
頭から手を降ろした
それをきっかけに、その場の緊張は一気に高まる
「5」
静雄が一歩踏み出す
「4」
臨也が左足を半歩引く
「3」
野次馬達が静かに後退していく
「2」
静雄が後ろの足に体重を載せる
「1」
帝人の唾を飲む音
「走れ!!!!」
その途端回れ右して走り出す二人
その行動に呆気を取られ
一瞬遅れてガードレールをその場に捨て
追い掛ける静雄
周りに居た野次馬は巻き込まれないために道を空けていく
逃げる
逃げる
逃げる
追う
追う
追う
そんな、いつ終わりが来るか分からない命懸けの鬼ごっこのハジマリ
作品名:とある人の(非)日常?[前編] 作家名:里緒