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飛空都市の八月
飛空都市の八月
novelistID. 28776
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SOUVENIR II 郷愁の星

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 ランディはハッとした。勇気という自分の司る力をまるで感じないこの星の状況の中で、今、はっきりとみなぎる力強さを感じた。その源はあの賑やかさの中にある。
 そう、まるで感じなかった。これほど自分の力のないのも珍しかった。これは本当に由々しきことと言えたが、それよりランディが気になったのは神官リディアの態度だ。どういうことだと問いつめることはたやすいが、あれほど無表情な少女が恐怖に顔をひきつらせていたので、彼はゆっくりと言葉を選んで言った。
 オスカーが言っていた。
 「気になることがあれば、何か言う前に一呼吸置くんだ、ランディ。俺たちの言葉は、俺たちの思いと関わらず民たちに大きく、そして重く響く。だから、自分で事情をよく掴んだうえで結論づける必要がある。そのための視察なんだぜ」
 守護聖という立場か……。ランディはふぅとため息をついた。だが、今はこのオスカーの言葉が役に立ったようだ。老人たちが妙な笑みを浮かべていたのも気になった。案の定、彼の言った言葉は老人たちのお気に召さなかったらしい。
 リディアが扉を開いた。
 そこには鎧を身に付けた男たちが数十人いた。ただし剣ではなく、斧や鍬などを肩に担いでいる。ランディはこの星で初めて生き生きとした表情の者たちを見た。彼が感じる力強さはこの男たちからなのか……? それにしても、この老人たちを含めた神殿の中の者たちと、彼らとの間に一体どのような違いがあるというのだろう?
 リディアが小さく、しかし、鋭く叫んだ。
 「控えなさい、あなた方! 守護聖様がいらしてるのですよ!」
 一斉にその場が静まった。男たちはあわてて口をつぐみ、平伏した。その中に、一人だけ立っている人物がいた。暗い祈りの間へ入ってきた明るい光が逆光となって、ランディから顔は見えなかった。
 「執務官ですわ」リディアがすまなさそうにランディに向かって言った。
 「何を突っ立っているの! 守護聖様がいらしているのです、御挨拶なさい」
 やがて、ランディの目が明るさに慣れたころには、この星の執務官が彼のすぐ近くにまで来て、ゆっくりと跪いていた。肩までの少しウェーブのかかった金髪が揺れ、カチャリと白銀の鎧の音がした。
 「ようこそ、惑星ムワティエへ。風の守護聖ランディ様」
 深く礼をする。そして彼は顔を上げる。その何もかも見透かすような蒼い瞳は変わらない。ランディは息を呑む。


 ……ジュリアス様!