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蕾(智明×一ノ瀬)

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豪邸でご主人様として過ごすだけという夢のようなバイトを終えてから早数カ月。
 元の生活に戻ってからの数週間は、あの大きな屋敷で執事たちを侍らせ、顎で使い、何もしていないのにご主人様と呼ばれ崇められる贅沢三昧の生活が恋しかったが、今ではすっかり元の一般庶民としての質素な生活にも慣れた。いや、こっちが本当の俺の生活なのだから、慣れたというのは変か。感覚が元に戻ったという感じだ。
 そんな、今までと何ら変わりない、平凡無事にしてごく普通のつまらない生活を送っている俺だが、神代邸のバイトをする前と現在で1つだけ、確実に変わったことがある。
 それは、一ノ瀬 冬夜という新しい友人ができたこと。
 一ノ瀬は元々神代邸の主である神代さんに仕えていた執事だったのだが、今は執事をやめて俺のアパートの隣駅近くにある花屋で働いている。花が好きなあいつにはお似合いのバイトだと思う。接客の方はまあ……クビになっていないのだからどうにかなっているだろう。
数カ月前、神代邸で暮らしていた頃はご主人様と執事という非現実的な間柄だったのが、今ではすっかり「お友達」。「ご主人様」と呼ばれていたのが嘘のようなラフな関係だ。
 つくづく俺たちの関係は不思議だと思う。
 俺と一ノ瀬が遊ぶときは、基本的に何もしない。俺のアパートに一ノ瀬を呼んで、一緒にDVDを観たり、ごはんを食べたり、世間話をしたり、そんな風にただ一緒にダラダラ過ごすのが常だ。ただそれだけのことでも、一ノ瀬と一緒だとなぜだか新鮮でとても楽しく感じられた。



 今日も、いつものように一ノ瀬がバイト帰りに俺のアパートを訪れていた。
 いつものように、二人分のインスタントラーメンを煮て、それを二人で食べながら一緒にテレビのバラエティ番組を観る。始めの頃は、今まで小峰さんの作った美味いもんばかり食べていた一ノ瀬の口に、俺の作る安いインスタント食品が合うか不安だったが、一ノ瀬は、「智明が、つくってくれたの……?」といつになく頬を綻ばせながら、意外にも、おいしい……と感想を零しながらスープまで飲み干してくれた。俺は、インスタントラーメンは舌の肥えた人間でも食う、とこっそり脳内にメモしておいた。意外にも好評だったので、一ノ瀬が遊びに来る時はこうやってよく作ってやっている。
 ラーメンを食べ終えて、片づけるの面倒だなあ……明日にするか……などと考えながらぼーっとテレビを眺めていると、ふと、最近話題の人気アイドルが映った。
「おっ。小島ルイカじゃん。一ノ瀬、知ってる? 最近結構テレビでよく見かけるけど、この子可愛いよなぁ」
「……」
「この子いくつだっけ。17歳? 顔は童顔だけど身体は大人っぽ……、うお!?」

作品名:蕾(智明×一ノ瀬) 作家名:いち村