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みっふー♪
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novelistID. 21864
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おじちゃんと子供たちのための不条理バイエル

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「……」
おじさんの漆黒のグラサンの脇を冷たい汗が滴る。骨ばった喉におじさんはごくりと唾を飲み込んだ。褪せた半纏の胸元から、渋い色合わせと古めかしい意匠の小箱を取り出して少女に渡す。食うや食わずの身でありながら、今際の機会にこれだけは、虎の子の役立つときが来たのである。
「……毎度ありぃ、」
受け取った少女の口元が不敵に歪んだ。その口で掴んだ小箱の封を切り、中身をごっそり咥え取る。
「ひょほふやひゃんひゅうひゃほう!」
口いっぱいにすこんぶを頬張った少女の靴底が、おじさんの後頭部に容赦なく振り落とされた。
「オアフ!」
床に張り付いて為す術なくいたぶられながら、おじさんは恍惚の表情を浮かべ、今にも昇天しかかっている。
「……。」
理解していたはずの光景とはいえ、改めて言葉を失い立ち尽くす少年の肩を一つ叩いて天パが言った。
「オマエ本当にあのオッサンでいーのか?」
「……、」
眼鏡を俯かせていた少年は震える拳を握って低く呟いた、「――もうガマンできない」
「へっ?」
横顔を覗き込んで天パが訊き返した。少年は血走った目を上げた。
「かぐらちゃん代わって!」
「……」
――えっ、ええーーーっ?
駆け出していく少年の背中を見送って天パは絶句した。すっかり興に乗ったらしい少女のチェンジはなく、二人がかりでげしげし踏まれて絶叫するおじさんが幸せなのか不幸なのか、天パにはもうよくわからなかった。


***

今日、ぱっつんと私に踏まれまくってぐったりつぶれかぼちゃあんまんじゅうみたいになったおじちゃんの頭にろうそくを立てて、はろうぃんのおぶじぇとしてしばらくじむしょに飾っておくことにしました。
――おまえらマジか? 銀ちゃんはドン引きして天パがぐしゃっとなっていました。ふだん無駄にごーたんぶってるわりに、こゆとこ意外に小物だなっておもいます。まぁね、百歩ゆずってギャップねらいの ちゃーむぽいんと☆ と言ってあげてもよくってよ! おーほほほほ!!
おじちゃんはオプションとして加わったろうそくのあつさにさいしょは戸惑っているもようでしたが、いまではすっかりお気にめしたごようすで、ときどきヒーヒーうれしい悲鳴をあげています。おわり★