二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

おやすみなさい、また明日

INDEX|1ページ/7ページ|

次のページ
 
「あ、目、覚めました? おはようございます、柳さん」
目が覚めるとまず赤也の顔があった。何年と見慣れた顔だ、間違える筈も無い。
「……今は何時だ? そろそろ帰らなくては」
寝起きだからか、後頭部がやけに重く感じられる。時間間隔も希薄だ。今は何時なのだろうか。ふらつきそうになるのを片腕で支えながら柳は上半身を起こした。支える掌が沈む。柳が横になっていたのは革張りのソファだった。三人は楽に座れそうだ。滑らかな黒のソファはどっしりとした重みが感じられ、ドラマに出て来るような立派な家のリビングに置いてありそうだ、と俗な事をぼんやり思う。
「帰るって、どこへ?」
傍らに立っていた赤也が、異国の言葉を聞いたかのような顔をして首を傾げた。
「どこへって……」
自分の家だ。そう答えようとして柳は口篭る。そもそも自分の家とはどこだっただろうか。ここはいったい誰の家なのだろうか。自分の家でない事はわかる。恐らくリビングだろうこの部屋だが、十畳を軽く越えそうな広い室内だ。こんな広い部屋は自分の家には無い。そしてこんなソファは赤也の部屋にも無かった、筈だ。他の誰かの部屋か、とは思わなかった。ここには自分と、赤也、二人しか居ない。
口を閉ざした柳に、少しばかり困ったように赤也は眉尻を下げて、苦笑いと呼ばれる表情を浮かべた。彼はソファの隣に膝をつき、柳と目線を合わせる。労わるような仕草だ。口角を意思によって持ち上げた、意図された微笑みを赤也は作った。その笑顔が、今は何故か寒々しく感じられる。寝惚けてます? と、柳の前で彼の大きな掌が数回振られた。
「ここが柳さんの家でしょ」
それから赤也は、頬をほんのりと赤らめながら視線をふいに逸らし、照れくさそうに口篭った後ぽつりと言葉を零す。
「結婚したじゃないですか、俺たち」
まるきり身に覚えが無い。
とは、本気でその単語を恥じらっているらしい素振りの赤也を前にしてはとても言えそうになかった。
作品名:おやすみなさい、また明日 作家名:385