【かいねこ】ハジメテノコイ
日が傾き、風が出てきたので、荷物を片づけて帰ることにする。
「買い物して帰ろうか。いろはさん、何食べたい?」
「えっと、カイトさんの好きなもので」
「今日は、いろはさんの誕生日なのに?」
「はい!カイトさんの好きな物が食べたいです」
にこにこと笑ういろはさんに手を差しだし、
「そう。じゃあ、行こうか?」
「はい。ひゃぁっ!?」
握ってきたその手を引っ張って、抱きしめた。
「お誕生日おめでとう、いろはさん。これからも、ずっと一緒にいて下さい」
「ひあっ、あっ、こ、こちらこそ!」
耳まで赤くなっているのを見て、こっちも恥ずかしくなる。
「えーっと、く、暗くなる前に帰ろうか」
「は、はい」
ぎくしゃくと立ち上がり、いろはさんの手を握った。
歩きだそうとして、思いがけず手を引かれる。
何事かと振り向くと、いろはさんがまだ赤い顔をしながら、
「か、カイトさん、あの、今日は楽しかったです!ありがとうございます!」
そう言って満面の笑みを向けてくる彼女に、俺も笑って、
「こちらこそ。また、二人だけで出掛けようね」
「はい!」
小さな手を握りしめ、駅へと向かった。
Happy Birthday!
この幸せが、何時までも続きますように。
終わり
作品名:【かいねこ】ハジメテノコイ 作家名:シャオ